タレント・須藤凜々花さんが激推ししてくださっている『片想い探偵 追掛日菜子』。
一度好きになったら相手をとことん調べつくす主人公・日菜子のストーキング能力に、驚愕する読者が続出しています。その日菜子のエキセントリックな行動&発言は、「さわり」だけでも十分伝わるのでは…!ということで、今回冒頭部分の無料公開に踏み切りました。
プロローグと、1~5話それぞれの冒頭部分を、1日おきに公開していきます。
〈あらすじ〉
追掛日菜子は、舞台俳優・力士・総理大臣などを好きになっては、相手の情報を調べ上げ追っかけるストーキング体質。しかしなぜか好きになった相手は、殺人容疑をかけられたり、脅迫されたりと毎回事件に巻き込まれてしまう。今こそ、日菜子の本領発揮! 次々と事件の糸口を見つけ出すがーー。前代未聞、法律ギリギリアウト(?)の女子高生探偵、降臨。
***
「推し(おし)」とは──
自分が支持、愛好している対象。
アイドルグループのファンが自分の好きなメンバーを表すのに使用
(イチ推しメンバー)」をさらに短縮した言葉。
***
共有部屋の中では、今日もまた、由々しき事態が発生していた。
「うっわ」
自室に足を踏み入れた瞬間、異常を感知した翔平は思い
「まぁた変わったよ……」
いつまで経っても慣れない。いや、慣れてはいけないと、
鞄かばんを床に置き、腰に両手を当てて四方の壁を見回す。
自分の意思とは無関係に部屋の〝模様替え〟が行われるのは、
犯人は分かりきっている。
「……で、誰だこれ」
壁を眺めながらそう呟つぶやいたところで、
「ねえお母さん」
「はい?」
「俺とあいつって、どうしてこの歳としになっても同じ部屋なんだ
「しょうがないでしょ。あなたたちに一部屋ずつあげたら、
「じゃなくてさ。この子ども部屋、
「リフォームにお金がかかるんだもの。
「じゃあ、
「日菜がすぐに開けるからよね。
母はのんびりとした動作で屈かがみ込み、
「女の子だし、
「いや、あいつはただ──」
否定の言葉は、母がスイッチを入れた掃除機の音に吞のみ込まれた
掃除の邪魔をしないように、翔平は部屋へと戻った。改めて、
妹の日菜子が、高校生という多感な時期であるにもかかわらず、
──壁の面積を、減らしたくないだけだ。
壁一面にびっしりと貼はられた、イケメン男子の写真。
髪を搔き上げてみたり、水を滴したたらせてみたり。
身体からだを反そらせてみたり、
無邪気にピースサインを出してみたり、
右からも、左からも。
前からも、後ろからも。
上からも、下からも。
顔、顔、顔、顔──何百もの同じ顔が、ありとあらゆる角度から、
今回は、俳優だろうか。
それとも、アイドルだろうか。
昔は、日菜子の勉強机の周りだけだった。それがベッドの脇、
これでは、プライバシー権どころか、
「俺が寛容だからって、いつまでも甘えるなよ」
一ひと際きわ大きくプリントアウトされた上半身裸はだかのイケメ
****
ヤバそうな主人公登場の予感!?
明日は1話冒頭の公開です。お楽しみに!(編集部)
片想い探偵
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