捨てることは、生きること、捨てなければ、生きられない――。「断捨離」の考案者であるやましたひでこさんはそう言います。「捨てる」という一見、単純な行為がどうしてこれほどまでに難しいのか? なかなか実践できないのか? やましたさんの新刊『捨てる。~引き算する勇気~』から抜粋して考えます。
モノとの関係性が人間関係にも影響する
断捨離の相談を受けていると、「捨てられない」と言われることがあります。
考えてみれば「捨てられない」というのは変な日本語です。
捨てたくなければ捨てなくてもいいわけです。「捨てられない」というのは、まるで何かに捨てることを妨げられているかのようです。
誰かに持っていることを強要されない限り、捨てたくなければ持っていればいいし、捨てたければ捨てればいいだけです。
ところがそう簡単にはいきません。
「捨てられない」という言葉を解釈すると、「捨てたいと思っているのだけど、捨てたくはない理由が自分の中にある」ということです。
モノを捨てることができない理由は、二度と手に入らないかもしれないということでしょうか。
こうした状態は、人間関係にも起こります。
付き合いたくない人と付き合っている場合です。
たとえば、職場の嫌な上司やお客さんなど。付き合いたくなければ付き合わなければいいのです。
しかし、実際にはそうはいかない。
なぜか?
上司に嫌われたら、仕事に影響が出るかもしれない。
給料が上がらないかもしれない。
しかし、あなたを評価する上司は社内にほかにいるかもしれませんし、転職をすればもっと条件のいい仕事をすることができるかもしれません。
もっと良くなるかもしれないのに、起こってもいない「困っている未来」を想定している。これは、あなたの自己肯定感が低くなっている証拠です。
肝心なことは、起こり得るデメリットと手放すメリットを俯瞰的に見たときに、どちらを選択するのかということです。
「捨てられない」という言葉を断捨離して、捨てるのか捨てないのかを選択すればいいのです。まず自分の意志を持つことです。
仮に困ったことが起こっても、それが自分の成長の機会となることも珍しくありません。
持っておく方がいいと判断するなら持っていればいいのです。
もちろん、急に捨てなくても、離れていく方法を考えればいいのです。まずは、自覚することが大切。
……続きは、『捨てる。~引き算する勇気~』をご覧ください。……