女優、タレント、モデル……様々な人にメイクをしてきた大人気ヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロさんが、文字だけの美容本を刊行しました。その名も『美容中毒』。女性に生まれたからには、思いっきり美を楽しみ、追求してほしいという小田切さんの思いが込められた一冊です。メイクルームでたくさんの女性を観察するなかで発見した、本当の美しさとは? 内容を一部抜粋してお届けします。
泣ける体質。
充実した日々を生きるために、一定のコンディションを保つ努力は大人には必要。僕は、1日の中でちょっとした気分転換を何度もしていて、深く正しい呼吸と、浸透力が高い良質な水をこまめに飲むこと、そして、香りで心を癒したり脳裏を鮮烈に刺激することをルーティンとしている。
さらには、泣ける体質になることも意識している。年齢を重ねると、無感情になって何事にも動じなくなったりする人もいるけれど、マインドはみずみずしくいたいもの。毎日仕事をしていたら、泣く暇なんてない? いいえ、だからこそ、休みの日くらいは映画を見たり、小説を読んだりして、心を震わせるの。
日本人は我慢強く涙を見せないことが美徳として育てられてきたから、泣くなんて心が弱いと思う人もいるかもしれない。だけど、映画や小説から他人の人生に思いを馳せて流す感動の涙は、とても美しいと思う。そうやって過ごす休日は、自律神経を整える効果もあり、日常の精神を安定させるセラピー効果もあるはずよ。
美しい姿勢という魔法。
美人の共通点、それは姿勢。どんなときも美しい姿勢であれば、パッと見ただけでも好印象だし、華やかな気品まで手に入る。人って意外と見てるから。ピンッと背筋や首筋が伸びた凛々しい人には、熱い視線が注がれている。
そもそも、人前での正しい姿勢は当たり前。家の中や誰も見ていないところでも、背筋を伸ばす。誰もいないからどうでもいい、なんていうその曲がった安心感がブスにする。
そして、姿勢が正されると素晴らしいメリットがあることはご存知? 全身の筋肉がバランスよく刺激されて、自然にスマートな体つきになっていくし、骨盤が正常な形で維持されるから、月経痛や排卵痛など女性特有の痛みが軽減されるとか。免疫力が向上することもあって、丈夫なカラダ作りにもひと役。
見た目の美しさはもちろん、健康面にも磨きがかかってしまう、姿勢という魔法。今すぐ意識し始めるべき。
抜け感と、ただの間抜け感と。
“抜け感”というワードは、凜としていながら、力が抜けている人だけに相応しい。ただ抜けているだけの“間抜け感”とは明らかに違う。つまりその軸には、ブレない芯の通った強さがあるということ。
最近は、メイクにおいても“抜け感”が主流だけれど、きちんとしたベーシックが確立されていてこそ、バランス良く崩すことが可能なんだとつくづく思う。たとえばアイシャドウは、今や誰もが指で簡単に乗せたりするけれど、チップ1本でグラデーションを作るような基本を叩き込んだ上でそんなラフな塗り方を楽しむ方が、断然、塩梅がいい。洋服を着崩すときだって、何も考えずに崩しただけじゃ、だらしがない印象。ちゃんと狙って崩すことができるのは、ごく一部のファッショニスタだけでしょ。
揺るぎないベーシックがあるから崩せるという、いつの時代も変わらない事実。筋を1本通すから、大きく羽ばたいていけるの。
美容中毒
大人気ヘア&メイクアップアーティスト小田切ヒロさんが、女優、タレント、モデルや、カメラマン、スタイリスト、編集者などなど、様々な女性を観察してたどり着いた、本当の美しさ。今を生きるすべての女性に読んでほしい、毒と愛に溢れた“言葉の美容”。