愉しみにしてくださってる皆様、長らくお休みしてすみませんでした。
悪いのは、香川さんが3割と、担当編集者が8割です。足して10割超えちゃいましたが、それくらい反省してるということです。
では、香川裕光の渾身の「すべらない話」をどうぞ!
どうかほっこりして、笑って許してください。
* * *
コとスとトとコと
新年明けましておめでとうございます!
1月も月末に何を言っとるんだ!と、総突っ込みを食らいそうだ。年末年始と、まんまとこのエッセイの原稿をサボってしまった。年始早々、本当にダメな自分に反省している。申し訳ございません……。(編集部注:原稿が届いたのは1月下旬だったのに、月をまたいでしまいました!ゴメンナサイ)
お正月は、香川県でうどん巡りをしながらライブをしたり、毎度のことながら終わりの見えないレコーディングと曲作りに追われる日々だった。
僕は月曜日に、週刊少年ジャンプを読むと、
「あ、やべ。今日エッセイ書く日だ」
となるわけなのだが(原稿の執筆日を月曜日と決めている)、年末年始はジャンプも合併号で、2週間に1度しか発売されなかったりするのだ。と、いうことは、1回でもサボってしまったら、次に
「あ、やべ」
となるのは2週間先ということになり、結果、1ヶ月くらい更新が滞ってしまったことをお詫び申し上げたいと思う。
先ほどジャンプを読み終え、
「うぁ!!!やば!!」
となった所である。ジャンプがこのエッセイを書くためのトリガーなので、合併号は本当に痛い。どうにかならないものか……。
なんてくだらない言い訳をしてすみません。ごめんなさい。
いや本当に、毎週楽しみにしてくれている読者の皆さまや、律儀に僕のライブに足を運んでいる担当編集さんに申し訳ない。2019年はもっと心を入れ替えて、物書きとしての自覚をしっかりと腹に据え、日々精進していかなければ。
心のアンテナをしっかり立てていれば、エッセイのネタなんてそこら中に落ちているはず。先日テレビでやっていた「人志松本のすべらない話」で、なんでもない話を超おもしろおかしく話している芸人さんを観てはっとした。実際、我々の日常で起きる出来事なんてたかが知れている。それをいかに「面白可笑しく」表現できるか大切なわけだ。
かの有名な高杉晋作が残した言葉のように『おもしろきこともなき世をおもしろく』書いていきたいものである。
僕は6月に生まれたため、年が明けると同時に
「あ~、もうあと半年でまた歳取るなぁ~」
と毎年思う。平成の世が終わる今年、ギリ昭和生まれの僕は33歳。見事ゾロ目を迎える。なんだか疲れやすいし、こないだなんて、友人に会って開口一番に
「あれ?どうした?疲れてる?」
と聞かれた。3連休明けの万全な体調だったが……。
もちろんまだまだ30代!
歳をとるのも悪いことばかりではなく、むしろ30歳でデビューした僕は20代の頃より日々楽しく生きている。大人って自由で愉しい。責任はどんどんのし掛かってくるけれど。
1月7日に、とある人が36歳の誕生日を迎えた。僕の親友であり先輩の「メンダーさん」である。おもしろい名前だが、これはあだ名で、本名は伊東直人さんという。「直す」を英語にするとMEND。名前の“直す人”をそのまま英語表記して“MENDER”さんである。なんと自分で考えて名付けたらしい。おもしろい人である。
彼とは、6、7年くらい前にライブ会場で出会った。「アサラト」というアフリカの民族楽器を多彩に操る演奏者で、珍しい楽器を扱う派手な格好をしたお兄さんに興味が沸き、僕から声をかけたのがきっかけだった。
ファンキーなファッションとは裏腹に、話すととても落ち着いていて、なんと普段はしっかりスーツを着て、経済産業省で国家公務員として働いているらしい。派手な休日とのギャップがすごい。
メンダーさんと初めて会ったそのイベントも、今思えば謎に包まれていた。
大きなお寺の本堂で演奏させてもらった後に、主催者の演説がはじまったのだけれど、
「明日、グランドクロスにより地球が消滅する!」
んだとか言っていた。
そのときにメンダーさんと目が合い、
「あれ?俺たちちょっと不思議な国に迷い込んでる?」
と一瞬にして仲間意識が芽生え、コソコソと途中退場し、逃げるように帰った。
以来、良き先輩、親友として交流を深めている。(いや~地球が消滅しなくて良かった!)
メンダーさんはすごく後輩想いで優しい人だ。僕が困っているときは必ず助けてくれるし、いつも美味しいご飯をご馳走してくれる。3年前に、僕が東京のテレビ番組に呼ばれた際は、実費で東京のスタジオまで応援にきてくれた。
そして、メンダーさんは、ものすごく頭も良い。仕事をしながら英語の勉強をして、TOEICで990点(満点!!)をたたき出し、広島で首脳会議があった際に、どこかの国の要人の通訳をしていたりする。毎日勉強のため本を読み、これまでに600冊以上の本を自分なりにレビューし、レポートをまとめて管理しているようなガリ勉である。
そんな経済と英語と文学と音楽を愛するハイブリットなメンダーさんからこんなメールが届いた。
『今年も誕生日は寂しく独りになりそうです。祝ってください……』
涙が出そうである。2年前なんて、メンダーさんは自分でお店を予約し、自分でメンバーを集め、オードブルを頼み、ケーキを出し、誕生日パーティーを開催してくれた。そして参加してくれた友人一人一人に、 “メンダーのお勧め本”を逆にプレゼントしてくれたのである。(しるし書店的な!)
あまりに不憫に想えたので、翌年は盛大にお祝いしてあげた。今年こそは誰かお祝いしてくれるパートナーを見つけてくれるのかと信じていたが、どうやら難しかったようだ。大好きなメンダーさんに幸せな誕生日会を開いてあげなければ。
誕生日当日、僕はメンダーさんを自宅に招いた。メンダーさんは、テーブルに並んだご馳走を見て大喜びをしてくれた。七面鳥の丸焼き、海鮮アヒージョ、でっかいフランスパン、クラッカーやらチーズやらetc…。グラスにワインを注ぐと、豪華な貴族の食事のようだ。上出来だ。もちろんケーキも準備した。
メンダーさんは
「すごい!こんなご馳走はじめてだ!!」
と大喜びで七面鳥に食らいつき、ガブガブとお酒を飲んだ。
しかし、実はこの日、僕がライブツアーから帰ってくる日だったこともあり、全然準備が間に合わなかったのである。本当は何か手料理でも作ってあげたかったのだけれど、時間がなかったので某大型業務用スーパー色々と買ってきて盛り付けしただけのご馳走だった。
そんなことも知らないメンダーさんは、
「いや~!俺のためにこんなに準備してくれて!本当にありがとう!」
と大喜びで、あまりに嬉しそうな顔をしているので、ついに本当の事を言えず、
「ま、まぁね。こんなんパッとできますよ!」
と嘘をついてしまった。うちには、「ホームアローン」に出てきそうな七面鳥が焼けるようなオーブンなどない。
終電も近いので、最寄り駅まで彼を送った。改札を通るギリギリまでメンダーさんは
「美味しい手料理ありがとう!!ごちそうさま!!」
とお礼を言い、ホームへと消えていった……。
この場を借りてメンダーさん、ごめん!!!来年こそは手料理で!!!!
メンダーの来年の誕生日を一緒に祝ってくれる女性絶賛募集中!!!
歌のち歌、ときどき旅
旅するシンガーソングライター香川裕光は、今日もギター片手に、日本のどこかで(ときどき海外で)、歌ったり笑ったり食べたりしています!
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