自律神経の名医、順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生の最新刊は『死ぬまで“自分”であり続けるための「未来日記」』。先生が提唱する「未来日記」は、「達成したいことを完了形で書く」日記でも計画表でもない、1日の価値を上げる、まったく新しいツールです。
本書より、「みなさんの人生が満足いくものになりますように」と、願う小林先生のメッセージをお届けします。
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1日の価値を上げる
「人生8万時間」という考え方があります。
20歳から60歳まで働いた場合、もちろん個人差はありますが、日本人は年間に平均約2000時間働くといわれているので、2000時間×40年=8万時間になります。
いっぽう、定年後は、1日24時間のうち寝食に要する時間を引くと約11時間。寿命を80歳とすると、11時間×365日×20年=約8万時間になります。平均寿命はこの先も延びていくでしょうから実際はもっと多くの時間が残されていると考えられます。
つまり、働いていた時間と同じ時間が、定年後に用意されているということです。
「もう歳だから」と言ってのんびり過ごすには、あまりにも長い時間があります。
時間は、生きている限り平等に与えられます。
しかし、時間というのは不思議なもので、時間の価値はそのときどきによって変動します。お金のように価値が一定ではないのです。
お金の場合は、10円玉が2枚あれば20円になりますし、500円玉は、いつどこで使っても500円の価値があります。
ところが、時間は違います。
若いころは、「1日が25時間だったらいいのに」などと言って、時間を欲していた方が多いと思います。そのころは「1日=1万円」だったかもしれません。けれども、たとえば定年を迎えて時間を持て余しているとしたら「1日=5000円」くらいに、あるいは余命いくばくもない病気で投げやりになっている場合は「1日=100円」くらいに価値が落ちているかもしれません。
「もう、どうしようもない」と後ろ向きになることで、1日の価値がどんどん下がっていってしまうのです。
だけど本当は、毎日1万円でありたい。
ただなんとなく過ごすのではなく、自分の目標や夢……、もっと身近な言葉を使えば、楽しむために時間を使う。そういう毎日を積み重ねていくことが大切ではないでしょうか。
今からでも「毎日1万円」を蓄積していけば、きっと豊かな人生になります。