差別・排外主義の極右政治団体が、新型コロナウイルスにかこつけて中国人や在日コリアンに対するヘイトデモを行っている。
2月29日、東京・銀座で行われたデモでは、「新型肺炎から日本人の命を守ろう」という一見もっともらしく見えるスローガンを掲げながら、「在日特権を許さない市民の会」前会長の桜井誠氏を先頭に、約100人が旭日旗やプラカードを掲げて怒号を上げながら練り歩いた。
デモの様子は動画サイトで生中継され、チャット画面には視聴者からの「桜井さんの行動力は、神!」「在ニチハ帰ってください」などのコメントが見られた。
沿道にヘイトスピーチに抗議する市民団体が現れると、街路樹を挟んで罵声の飛ばし合いとなり、「差別はやめろ!」「我々日本民族の敵が目の前にいます! 彼らは間違いなく新型ウイルスを持っております!」などとわめき散らした。
どうしてここまで常識はずれの野蛮な行為を、こんなに堂々とやってしまえるのだろう? ありもしない「在日特権」を叫び、自分たちの主張と合わない人々を「敵」と見なし、敵意むき出しに攻撃する……。
だが、ここまでの的外れな過激さには至らなくとも、どうも近ごろ自分の考えだけに固執し、増幅させてゆく人が増えたように思う。それが間違っていたとしても、自分の意見と違う他人の意見には耳を貸さない。むしろ嫌悪感や敵意をもって「もはや議論にならない」と没交渉の状態にする現象が、全体に起きている気がするのだ。
自分と合わない主張は見たくもない
「ねえ、あの人のフェイスブック見た? 自民党支持してるみたいで、そういう投稿が多いの。イライラするからあの人の投稿は非表示にしてる」
「朝日新聞の記事なんかシェアしてくれるなよ。生理的に受け付けられない」
「ああもう、産経新聞なんて読みたくもない!」
こんな言葉にちょっと共感する、という人は少なくないのではないだろうか。いずれもこの数年で私が聞いた言葉だ。というか、3つめは私自身が実際に声に出して言った言葉である。
私は原発政策には反対だし、公文書が忖度によって改ざん・隠蔽されている実態は大問題だと思っている。君主の地位の継承を男系男子のみに限定しているのは、今どき世界じゃサウジアラビアやヨルダンのような一夫多妻の国ぐらいなのに、「天皇は男系の血」なんて恐い顔で言うおじさんたちはどういう感覚なんだろうとも思ってしまう。
この3点について、ことごとく正反対の主張を高らかに述べる産経新聞にはどんどん嫌悪感がつのってしまい、ある時「なんて汚い新聞なの!?」と忌避感を抱くまでに至ったのだった。
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嘘、デマ、フェイク、陰謀論、巧妙なステマに情報規制……。混乱と不自由さが増すネット界に、泉美木蘭がバンザイ突撃。右往左往しながら“ほんとうらしきもの”を探す真っ向ルポ。
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