売り上げトップ販売員から接客アドバイザーに転身した平山枝美さんの最新刊『あの人だけが、なぜ売れるんだろう? 売れる販売員になる30のこたえ』。現役販売員の方から平山さんの元に多く寄せられる“接客の悩みや疑問”を取り上げ、すぐに実践できる解決法をご紹介しています。
今回は“お客様を褒めるのが苦手”という方へのアドバイス! 一部抜粋してお届けします。
Q. お客様を褒めようとすると、わざとらしくなってしまうことがあります。
お客様の信頼感を高め距離を縮める上で、褒めることは基本です。心からの褒め言葉ならどなたも好意的に受け止めてくれますし、素敵な部分を見つけたら積極的に伝えたいものです。
しかし、「褒めなきゃ」と思うあまりに、なんだかわざとらしくなってしまうという悩みもつきものです。
A. 褒め言葉ではなく、見たままの事実を伝えましょう。
私はもともと褒めるのが苦手で、皆が褒め合っている中、自分だけうまく褒め言葉を口にすることができませんでした。「そのバッグかわいいね」「似合うね、そのワンピース」という言葉が飛び交う中、後から「靴、かわいいね」と言うのは、いかにも皆に合わせているように感じたのです。そうして、ますます褒めることを苦手だと思うようになりました。
しかし、販売員という仕事に就いたらそんなことは言っていられません。
ある日、大振りのピアスをつけたお客様が来店されました。商品のニットを手に取ったので「かわいいニットですよね」と声をかけました。しかし「はあ」と消極的な返事。私はお客様との距離を縮めなければならないと思い「ピアスかわいいですね。そちらのニットにも合うと思います」と続けると、お客様はさらに苦い顔になってしまいました。
せっかく褒めたのに、お客様は全然嬉しそうではありません。何がいけなかったのでしょうか。
お客様が苦い顔になってしまったのは、私が義務で褒めていると感じてしまったからです。それは、私の褒め言葉のタイミングと言い方に問題がありました。
私はお客様の反応が薄かったので、「褒める」という手段をとりました。小さな沈黙や気まずい空気を埋めるような唐突なタイミングだったので、お客様も話を繋げるために私が仕方なく褒めたのだ、と受け取ってしまったのです。
また、褒め言葉の後にすぐ接客トークに繋げてしまいました。「そちらのニットにも合うと思います」という言葉は「褒めたい」というよりも「売りたい」という印象の方が強くなります。
このような褒め方では、お客様のために褒めたのではなく、自分の接客をスムーズに進めていくために「褒める」という手段をとった、と捉えられても仕方ありません。
褒めるのが苦手な私たちは、どのようにすれば好意的に受け取ってもらえるようになるのでしょうか。
やや抽象的な話になりますが、褒める時は見返りを求めないことが大切です。お客様を褒める時に、沈黙を埋めたい、などの意図があると不自然な褒め方になり、それが伝わってしまうものです。
会話のきっかけを摑みたい時は褒め言葉ではなく、見たままの事実を伝えるようにしましょう。先程の例なら「大きなピアスですね」などと、感想ではなく事実を伝えるようにします。
また、その後すぐ接客トークに結びつけるのではなく「私も似たものを持っているのですが、何と合わせていますか?」などと、お声がけした内容と関連のあることを言います。そうすることで自分が関心を持っていると伝えることができ、わざとらしさがなくなります。
これをきっかけに思いもよらない雑談になってしまうこともありますが、急に話を切り替えると気まずい空気が流れてしまいます。一つ二つ、お声がけしたことに関連した話題を振り、その中からニーズを把握していくといいでしょう。
お客様との距離を縮めようとして、無理に褒めようとしていませんか? 商品提案ができるように会話を繋げたい、と無理に褒めると、お客様がしらけてしまうこともあるでしょう。
褒めるのではなく、目に映ったことをそのまま伝えるようにすると、自然な会話のきっかけとしてお客様に受け入れてもらいやすくなります。
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『あの人だけが、なぜ売れるんだろう? 売れる販売員になる30のこたえ』にはお悩みとその解決法をまとめた「売れる販売員になるための目標達成チェックシート」(229ページ掲載)がついています。得意なところと苦手なところがはっきりしてくるので、接客の見直しに役立ててください。
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