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おどろきダンゴムシ図鑑

2020.07.04 公開 ポスト

これがダンゴムシ?トゲトゲのおどろき3選奥山風太郎(生き物ライター)

世界各地のおもしろいダンゴムシを集めたビジュアルブック『おどろきダンゴムシ図鑑』(奥山風太郎・著)が話題です。今回はなんともユニークなトゲトゲのダンゴムシを本書からご紹介します。

*   *   *

コンペイトウダンゴムシ(写真:奥山風太郎)

 

南部鉄器みたいなゴツさ

イボイボコシビロダンゴムシ
Armadillo tuberculatus

〈採集地〉ギリシャ・クレタ島
〈平均的な個体の体長〉9ミリ

体長6ミリほどの若い個体。トゲが尖っている(写真:奥山風太郎)

Armadillo属のほとんどの種はいわゆるダンゴムシそのものの外見で、あまり特徴がない。

そんな中、群を抜いて奇抜な姿をしているのが本種

ちなみにこのイボは若い個体ほど鋭くてトゲに近い形状をしており、成長にともなって丸っこいイボとなる。

おもにエーゲ海の島々に生息しており、乾いた林などで見られる。

一度丸まるとなかなか戻らない(写真:奥山風太郎)

ゴツゴツしていてなんだか珍しそうなオーラをまとっているが、生息地では個体数も多く、よく見かける種類らしい。

 

アジアを代表する珍奇さ

コンペイトウダンゴムシ
Armadillidae sp.

〈採集地〉タイ
〈写真の個体の体長〉6.5ミリ

コンペイトウダンゴムシ(写真:奥山風太郎)

タイの山岳地帯で見つかったトゲトゲのダンゴムシ。

魚類のダンゴウオの仲間にコンペイトウ(金平糖)という種類がいるが、こちらはダンゴムシ版の金平糖で丸まった姿はまさにそれ。

ベトナムやフィリピンにいるローレルトゲダンゴムシと似た雰囲気があるものの、おそらくあまり近いなかまではなく、本種と近いと考えられる種が何なのか、まだわかっていない。

トゲトゲのダンゴムシは世界では珍しくないが、ヨーロッパやアジアではとても珍しい。

少なくとも東洋区では、はっきりと発達したトゲのあるダンゴムシは6~7種しか私は知らない。

だからアジア産のトゲトゲ種というだけでレア度もありがたみも格段にアップしてしまう。

湿度の高い森の、樹皮に生えたコケの中やその周辺に生息し、成体でも6ミリほどにしかならない小型な種類。

だが意外にも大胆な性格をしていて、明るい昼間でも物怖じせずに樹皮を元気に歩き回っている。

※東洋区……ヒマラヤ山脈以南のインド、スリランカ、ミャンマー、タイ、東南アジア、長江以南の中国大陸、台湾、沖縄を含む地域。

 

南米のハリモグラ

ブラジリアンエキドナ
Diploexochus cf. echinatus

〈採集地〉フランス領ギアナ
〈写真の個体の体長〉12ミリ
 

ブラジリアンエキドナ(写真:島田拓)

私が最初に出会ったトゲトゲのダンゴムシ。

あまりのインパクトに、本当にひっくり返りそうになったことをよく覚えている。

カリブ海に浮かぶトリニダード・トバゴで発見され、その後南米北部沿岸の森に広く分布していることがわかった。

本種の研究者がブラジリアンエキドナ(ブラジルハリモグラ)と表現しているが、ピッタリな名前だと思う。

*   *   *

この続きは書籍『おどろきダンゴムシ図鑑』をご覧ください。

関連書籍

奥山風太郎『おどろきダンゴムシ図鑑』

どこにでもいる身近なアイツ、実はこんなにすごかった! カッコいいもの、美しいもの、ふしぎなもの……。ミステリアスな世界を日本一のダンゴムシファンがご紹介します。実は集団生活よりも単独行動が好き/ダンゴムシは虫じゃない!?/好物はチーズ、ナス、ニンジン/青く輝くダンゴムシ。だがその正体は……/砂浜の色で色合いが変わるハマダンゴムシ/メスの顔面にしがみついてプロポーズ/丸まるのが得意な種類、隙間だらけになっちゃう種類 など

丸山宗利/福井敬貴『とんでもない甲虫』

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おどろきダンゴムシ図鑑

2020年6月11日発売『おどろきダンゴムシ図鑑』(奥山風太郎・著)の最新情報をお知らせします。

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奥山風太郎 生き物ライター

1977年、東京都生まれ。世界各地で野生生物を調査し、雑誌等で紹介してきた。もともとは両生類や爬虫類が専門だったが、フィールドワークを重ねるうちにダンゴムシの魅力にとりつかれ、現在では南西諸島の種を中心に200以上の地域で採集した、数十万匹のダンゴムシを飼育中。変わった色柄のダンゴムシを探すのが大好き。著書は最新刊『おどろきダンゴムシ図鑑』(幻冬舎)のほか『鳴く虫ハンドブック』(文一総合出版)、共著に『ダンゴムシの本』『鳴く虫「音声」図鑑』(以上、DU BOOKS)、『日本のカエル+サンショウウオ類』(山と溪谷社)などがある。

 

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