世界各地のおもしろいダンゴムシを集めたビジュアルブック『おどろきダンゴムシ図鑑』(奥山風太郎・著)が話題です。今回はなんともユニークなトゲトゲのダンゴムシを本書からご紹介します。
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南部鉄器みたいなゴツさ
イボイボコシビロダンゴムシ
Armadillo tuberculatus
〈採集地〉ギリシャ・クレタ島
〈平均的な個体の体長〉9ミリ
Armadillo属のほとんどの種はいわゆるダンゴムシそのものの外見で、あまり特徴がない。
そんな中、群を抜いて奇抜な姿をしているのが本種。
ちなみにこのイボは若い個体ほど鋭くてトゲに近い形状をしており、成長にともなって丸っこいイボとなる。
おもにエーゲ海の島々に生息しており、乾いた林などで見られる。
ゴツゴツしていてなんだか珍しそうなオーラをまとっているが、生息地では個体数も多く、よく見かける種類らしい。
アジアを代表する珍奇さ
コンペイトウダンゴムシ
Armadillidae sp.
〈採集地〉タイ
〈写真の個体の体長〉6.5ミリ
タイの山岳地帯で見つかったトゲトゲのダンゴムシ。
魚類のダンゴウオの仲間にコンペイトウ(金平糖)という種類がいるが、こちらはダンゴムシ版の金平糖で丸まった姿はまさにそれ。
ベトナムやフィリピンにいるローレルトゲダンゴムシと似た雰囲気があるものの、おそらくあまり近いなかまではなく、本種と近いと考えられる種が何なのか、まだわかっていない。
トゲトゲのダンゴムシは世界では珍しくないが、ヨーロッパやアジアではとても珍しい。
少なくとも東洋区では、はっきりと発達したトゲのあるダンゴムシは6~7種しか私は知らない。
だからアジア産のトゲトゲ種というだけでレア度もありがたみも格段にアップしてしまう。
湿度の高い森の、樹皮に生えたコケの中やその周辺に生息し、成体でも6ミリほどにしかならない小型な種類。
だが意外にも大胆な性格をしていて、明るい昼間でも物怖じせずに樹皮を元気に歩き回っている。
※東洋区……ヒマラヤ山脈以南のインド、スリランカ、ミャンマー、タイ、東南アジア、長江以南の中国大陸、台湾、沖縄を含む地域。
南米のハリモグラ
ブラジリアンエキドナ
Diploexochus cf. echinatus
〈採集地〉フランス領ギアナ
〈写真の個体の体長〉12ミリ
私が最初に出会ったトゲトゲのダンゴムシ。
あまりのインパクトに、本当にひっくり返りそうになったことをよく覚えている。
カリブ海に浮かぶトリニダード・トバゴで発見され、その後南米北部沿岸の森に広く分布していることがわかった。
本種の研究者がブラジリアンエキドナ(ブラジルハリモグラ)と表現しているが、ピッタリな名前だと思う。
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この続きは書籍『おどろきダンゴムシ図鑑』をご覧ください。
おどろきダンゴムシ図鑑
2020年6月11日発売『おどろきダンゴムシ図鑑』(奥山風太郎・著)の最新情報をお知らせします。