AI革命、グローバル化、働き方の変化……この地殻変動に対応し、つねに最新でタフに生きるには何を心がければよいのか? その問いに答えてくれるのが、偏差値30台の「落ちこぼれ」からケンブリッジ大学へ進学という経歴を持つ、塚本亮さんの『自分イノベーション』です。ポスト・コロナ時代を生きる、若きビジネスパーソン必読の本書から、ぜひとも実践したい習慣をご紹介します。
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「のぞくだけ」でもかまわない
私は頻繁に書店へ寄ります。読みたい書籍があるときはもちろん、購入する書籍がないときも努めて書店をのぞきます。
資料としてよほど急いでいない限りは、ネットで本を購入することはありません。ネット書店では内容を確認することができませんし、何よりも過去の購入履歴がアルゴリズムで分析されて、私が好みそうな本ばかりが紹介されるからです。
情報収集の項目でもお伝えしたように、パーソナライズされた情報は便利ではあるものの、視野を狭くし、どんどん最新情報から取り残されてしまいます。
書店ならば、目次を見て、気になるページを眺めて、類書と比較して、選ぶことができます。そのプロセスを踏むことで、著者の主張だけでなく、今の読者が求めていることも見えてくるのです。
店頭で大きく展開されている、いわゆるベストセラーというのは、多くの人が求めた結果ですから、それらを眺めて知っておくことで、人の心がどの方向に動いているのかを理解することもできるのです。
雑誌も同様です。
男性が女性誌を購入することは、よほど必要に迫られない限りはないと思います。その逆もまた然りです。
でも、書店を徘徊して気になるワードを見つけたら、私は女性誌でも手に取ります。そこには、自分の知らない世界のことが書かれています。ファッションや美容の流行や、人気のスイーツ店の情報を女性誌から得るのです。
こうして、あらゆるジャンルの情報をキャッチすることで、見えてくるものがあります。
「つくおき」を知っていますか?
レシピ本のコーナーに行けば「つくおき」(「作り置き」の略)という言葉がたくさん並んでいます。
「『つくおき』って何?」
素直な疑問を持つことは重要です。
女性の社会進出が進み、子育てをしながら働くお母さんは本当に大変です。毎朝イチからたくさんのおかずをつくることは時間的にも体力的にも難しい。でも、できることならば愛情を込めて自分でつくったご飯を食べさせたい。だから「つくおき」のニーズが生まれるのだな……とか。
キーワードの「つくおき」から、新商品や新サービスのアイデアを思いつくかもしれません。
余談ですが、イギリスでは「お母さんの味は電子レンジの味」という人が少なくありません。
私がイギリスに行って驚いたことの一つが、スーパーを占める冷凍食品コーナーの面積でした。日本の売り場に比べて桁違いに広いのです。そもそも料理に対して積極的ではないイギリスでは、冷凍食品や缶詰ばかりを食べて育つ子どもが多いそうです。ですからイギリスでは「つくおき」ニーズは日本よりも低いと思います。「つくおき」文化は、日本らしさかもしれませんね。
私は、自分が暮らす京都だけではなく、大阪でも、東京でも、必ず書店に入ります。そうすると、街によって人々が求めているものが違うことがわかります。
京都の書店は、ローカルとしての京都で求められている書籍、つまり京都の人だけが興味を持つ本が多いのが特徴です。京都人はほかの土地の人と比べるとはるかに地元愛が強い、ということもその理由でしょう。
大阪の書店は、より広いマーケットを意識していて、ジャンルとしてはエンターテインメント系の書籍やあまり厚くないハウツー系のラインナップが充実しているのが特徴です。手っ取り早くハウツーが知りたいという気持ちはわからなくはありません。
東京の書店からは競争の激しさを感じます。ビジネス系をはじめ経済の動向が書かれた厚い本が目立つ場所に積まれているのが、東京の大型書店の特徴です。
私は一週間に一度のペースで東京を訪れて、意識的に書店に寄る時間をつくっています。世の中全体を知るには、東京の書店の棚を眺め、いくつかの本を選ぶことが必須です。
膨大な数の新刊書籍が並んでいて、どれを読んでいいかわからない、という声も聞きますが、それを選ぶのも技術です。
まずは店頭で自分の感覚を信じて選択をするということを意識してみてください。
自分イノベーション
AI革命、グローバル化、働き方の変化……この地殻変動に対応し、つねに最新でタフに生きるには何を心がければよいのか? その問いに答えてくれるのが、偏差値30台の「落ちこぼれ」からケンブリッジ大学へ進学という経歴を持つ、塚本亮さんの『自分イノベーション』です。ポスト・コロナ時代を生きる、若きビジネスパーソン必読の本書から、ぜひとも実践したい習慣をご紹介します。