日本人の新型コロナウイルスの感染者数と死亡数は、欧米に比べてなぜ少なかったのか。今後、「夜の街」問題はどうするのか。ファクターXは何なのか。予防に手落ちはないか? 抗がん剤の世界的権威にして細菌学・ウイルス学のエキスパートが、私見を含め、最新の疑問に答える。
* * *
コロナの専門家会議の報告もメディアの報道にも、今一歩踏み込んだ問題追及がなく、物足りなさを感じています。
例えば、日本人のコロナ感染患者の死亡率が、欧米に比べて1/10~1/100と極めて低いことが不思議に思われていますが、なぜ日本ではこれほどまでに死者が少なくて済んでいるのでしょう(表参照)。
あるコメンテーターは靴を脱ぐ生活習慣や手洗い、公衆衛生の概念が浸透しているからだと言っていましたがそれだけでしょうか。もっと決定的な違いがあるのではないでしょうか。
私の専門はもともと細菌学、微生物学、ウイルス学です。現在は、がん予防・がん治療にシフトしていますが、今回のコロナ騒ぎの報道に関して、私見を含むコメントを記しました。
今、漠然とした不安の中にいる人達に、このグローバル社会で生き残っていくために、メディアがあまり取り上げない問題が少なからずあることを知って欲しいと考えたからです。
現在、コロナ禍による日本人の全死亡数は971人です。2018年の厚労省のデータでは、日本では肺炎による死亡者は計約13万人(誤嚥性肺炎4万人弱を含む)、肺結核は約2千人、インフルエンザは約3千人程です。(6月28日発表分、厚労省)
それらと比較し、誤解を恐れずに言うと、現在、最も関心の強いコロナによる死亡者数は、始めに想像したほど恐れる必要はないといえます。まず何より、生き死にの問題が最も重要ですから。
第一波が去ったいま、世界中がパニックになって引き起こされる経済的・社会的損失がとくに日本を含め、先進国では甚大だったと言えると思います。
第二波がくる前に、できていなかった対策を洗い出し、これまで出た多くの情報を精査する必要があると思いますが、まずは、ウイルスの現状を科学的に分析し、冷静に対応することが、これからのためにも大切ではないかと考えています。
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•奥野修司 2020年3月19日、3月26日号 週刊新潮 •『トマトとイタリア人』内田洋子 シルヴィオ・ピエールサンティ 文藝春秋
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