西野亮廣が絵・文・監督をつとめる絵本『えんとつ町のプペル』が、このたび、50万部を突破した。出版不況の中、しかもコロナ禍の中で、絵本の50万部というのは、異例のヒットだ。
この作品は、あらゆる常識を覆した絵本として、2016年の発売当時から話題を振りまいていた。
・1冊の絵本のために、総勢33名のイラストレーター・クリエイターを集め、共同で制作。
・そのためにかかる莫大な制作費は、当時まだあまり知られていないクラウドファンディングで集める。
・新聞の全面を、西野氏が自腹で購入し、絵本発売を告知する新聞広告を打つ。
・自筆の原画(モノクロのペン1本で描いた絵)が1000万円で売れる。
・絵本に収録しているすべての絵を、背面からLEDライトで光らせる「光る絵」に仕立て、入場料無料の個展を開催。
・光る絵の制作費や、個展にかかる費用は、クラウドファンディングを活用。この絵本に関するだけで、1億円以上集める。
・発売後、全ページをネット上で、まさかの無料公開。
その後も、
・「光る絵展」は全国に広がり、動員数は50万人超。
・「えんとつ町のプペル美術館」建設を決定し、土地を購入。
・関西にある満願寺での「光る絵本展」では、寺全体をライトアップ。15日間の開催で総来場者数3万人。
・パリのエッフェル塔で、日本人初の個展開催。2日間で6000人来場。
――ほか、枚挙にいとまがない。
そしてついに、2020年末に、この絵本が映画化。
コロナ禍に見舞われるも、予定通りの公開に向けて、制作を進めている。
海外での翻訳版も続々と決まっている。
韓国、中国、台湾、フランス、トルコ、コロンビアではすでに発売になっているほか、現在も10か国以上で制作が進行中。
また、えんとつ町のその後の世界を舞台にした、次なる絵本『みにくいマルコ~えんとつ町に咲いた花~』も発売を控えている。
実は、西野のすべての絵本作品が、それぞれつながって一つの世界を成している。
西野の作る世界は有機的に拡大し続け、勢いは加速するばかりだ。
にしのあきひろ プロフィール)
1980年生まれ。絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『Zip&Candy ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台』、小説に『グッド・コマーシャル』、ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新世界』など。
まもなく、映画限定版カバーも書店に並ぶ。
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