他人に誤解されることが多い。昔のことをいつまでも引きずってしまう。人の気持ちを気にしすぎて常に自分を責めてしまう……。
世界で5人に1人が生まれながらに備えているという、刺激に対して非常に反応しやすい気質、HSP(Highly Sensitive Person)。脳科学医でありながら長年この「敏感な気質」で苦しんできたという高田明和さんが執筆された『脳科学医が教える 他人に敏感すぎる人がラクに生きる方法』から、同じように悩む人たちへ、生きづらさとうまく付き合っていく方法をご紹介します。
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安心感を得られるルーティンをつくる
社会の一員であれば、苦手な人、場所、シーンに立たざるを得ないことはたくさんあります。もちろん、丸腰でその場に臨んでしまったのでは、取り返しのつかないことにもなりかねません。そんなときに頼りになるのが「ルーティン」です。ラグビーの五郎丸選手が行うことで評判になったので知っている方も多いことでしょう。
このルーティン、多くのスポーツ選手が取り入れていることから、ストイックな儀式のように思ってしまいそうですが、決して難しいものではありません。
「朝起きたらコーヒーを飲まないと目が覚めない」「帰宅したら着替えてソファに座ってテレビをつけると、力が抜けてオフモードになれる」など、普段の生活の中で知らず知らずのうちに習慣になっていることも案外多いものです。同じように、「これをすれば安心できる」というルーティンをつくれば、不安や刺激から自分を守れるようになるのです。
まずは、ひとつ動作を決めます。手のひらで胸を3回叩たたく、手の甲と手の甲を軽くぶつけるなど、どこでも気軽にできる動作を決めてください。ただし、普段から行う動作では、動作と安心感が結びつかず、安心感を生むスイッチとしてうまく機能しない可能性もあるので、日常的には行わない動作が理想的です。
その動作を行っている最中には、「これで私は守られる」「これで大丈夫」などと心の中で唱え、自分を包むバリアをイメージします。
はじめは効果を感じられないかもしれませんが、1ヵ月も続けていれば、安心感を得られるルーティンとして確立されますから、信じて続けることが肝心です。人ごみや苦手な人と会う機会の多い人は積極的にルーティンを取り入れてみてください。
人の気持ちの「辞書」をつくる
敏感ゆえに他人と違う行動をとったり、過剰に反応してしまったりというのが私の悩みでした。その一方で他人の気持ちを深読みしすぎて、「あれは本気なのか冗談なのか」「笑ってはいたけれど、実はものすごく怒っていたのではないか」などと始終悩むこともありました。そうなると、ますます自分に自信が持てず、コミュニケーションに臆病になり、人付き合いが億劫(おっくう)になっていくのです。
そんな悩みを軽減するために私が実践したのが、自分だけの「辞書」をつくるという方法です。
辞書は言葉の意味を解説してくれる本です。それと同じように、「この人のこの表情はこういう意味だ」「こうした場合はこうするとよい」と、物事を分析してパターン化した解説書を、頭の中に書き綴っていくのです。
他人との境界がないせいで、常に自分の思いと他人の思いに挟まれ、苦しんでいたときに、この「辞書」づくりは非常に有効でした。物事を客観的に眺めるため冷静になれますし、自分と他人との境界をつくる助けにもなりました。
「このときはこう」と機械的に判断できるため、自分や他人の感情に敏感に反応して疲弊することも少なくなりました。「辞書」が厚くなるにつれ、他のものへ応用し、「これはこういう意味なのでは?」と予測できるようにもなりました。
「辞書」をつくるにはたくさんのサンプルが必要ですから、一朝一夕にはいきません。ですから、できるだけ早く、今すぐにでもつくり始めることをおすすめします。ただし、この「辞書」は完成するということはありませんし、一度書いたらいつまでもその解説が正しいということもありません。つくり続け、そして改良していかなければなりませんが、常にブラッシュアップを重ねるからこそ、それは一生ものの財産になるのです。
脳科学医が教える他人に敏感すぎる人がラクに生きる方法
他人に誤解されることが多い。昔のことをいつまでも引きずってしまう。人の気持ちを気にしすぎて常に自分を責めてしまう……。
世界で5人に1人が生まれながらに備えているという、刺激に対して非常に反応しやすい気質、 HSP(Highly Sensitive Person)。長年この「敏感な気質」で苦しんできたという高田明和さんが執筆した『脳科学医が教える他人に敏感すぎる人がラクに生きる方法』から、同じように悩む人たちへ、生きづらさとうまく付き合っていく方法をご紹介します。