テレワークの普及で悩まされる方が増えてきたのが腰痛。「8割は原因不明」といわれますが、スタッフと共に100万人以上もの患者さんを診てきた酒井慎太郎さんは「問診をして情報を事細かく聞き出していけば、必ず『痛みの原因』にたどり着きます」と断言します。
酒井さんが従来の腰痛治療の常識を超えた「新しいルール」を開陳する『つらい痛みが1日3分でスーッと消える 新しい腰痛の教科書』より、腰痛に関する基礎知識や対処方法の一部をご紹介します。
まずは腰痛全体のアウトラインを把握しよう
みなさんご存じのように、ひと口に腰痛と言ってもさまざまなタイプがあります。ただ、広い視野で全体像を眺めると、だいたいここに示したような区分けでまとめられます。
腰のハリやだるさに始まって、腰の筋肉痛(筋筋膜性腰痛)、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎分離症・すべり症、腰椎圧迫骨折……。これらのなかでも、とりわけ多くの人が悩まされているのが「2大腰痛」と呼ばれる椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症です。
まずは「腰痛ガイダンス」として、主な腰痛の横顔を簡単に紹介していくことにしましょう。
椎間板ヘルニア…腰にしびれるような激痛が走る
病院へ行くほどのつらい腰痛──。そう聞いて誰もがまっ先に思い浮かべるのは椎間板ヘルニアではないでしょうか。
椎間板ヘルニアになると、身動きできないほどの激痛に見舞われることも少なくありません。また、前かがみ姿勢をとったり長く座っていたりすると痛みが増し、日常の生活動作に支障が生じることもあります。
20~50代の働き盛り世代に多いため、なかには仕事や家事などに深刻な影響が出るケースも……。椎間板ヘルニアはわたしたちの日々の生活を脅かしかねない厄介な腰痛なのです。
◎痛みの特徴
- 洗顔時など、前かがみ姿勢がつらい
- 咳やくしゃみをすると、響くように痛む
- お尻や足にも痛みやしびれがある
- 長い時間座っていると、腰が痛くなってくる
◎どんな人に多いか
- 座っている時間が長い人
- 20~50代の働き盛り
- 前かがみ姿勢の多い仕事
- 親兄弟がヘルニア持ちの人
脊柱管狭窄症…腰をまっすぐに伸ばして歩くのがつらい
高齢者に多い腰痛として知られる脊柱管狭窄症。50代、60代から徐々に増え、70代、80代ともなれば、ほとんどの人がこの腰痛を経験することになるのではないでしょうか。
じっとしていればそれほど痛まないのに、歩き続けていると足腰に痛みやしびれが現われるのが大きな特徴。このため、外へ出歩くのを嫌い、家にこもって足腰の筋力を落としてしまう人が目立ちます。なかには、それを機に寝たきりになっていくケースも……。このため、脊柱管狭窄症の克服は、人生の終盤を健やかに過ごすための非常に重要なカギになるのです。
◎痛みの特徴
- 歩行中、足腰がしびれて動けなくなる
- 腰痛と足のしびれがつらい
- 夕方や天気が悪いときに痛みが増す
- 体を反ったり背すじを伸ばしたりすると痛い
◎どんな人に多いか
- 体が冷えがちな人
- 高齢者
- ゴルフ好きの人
- もともと腰痛持ちの人
* * *
編集部注:腰痛には重篤な病気が隠れている場合や重症化する場合があります。気になる症状があれば医療機関を受診してください。
より詳しい原因や2大腰痛以外の症状などについては書籍『つらい痛みが1日3分でスーッと消える 新しい腰痛の教科書』をご覧ください。