すっかり定着したテレワーク。それとともに増えているのが、オンライン独特のコミュニケーションに関するお悩みです。対面で会うのと違って、うまく相手に伝わらない、相手の話に集中できない……。そんなあなたに読んでほしいのが、パフォーマンス心理学の第一人者、佐藤綾子さんの『オンラインでズバリ伝える力』。アフターコロナの時代になっても、オンラインの活用は続くと見られる今、ぜひ身につけておきたい本書のメソッドをいくつかご紹介します。
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1分間あたり「213字」で話せ
対面での会話で快適な文字数は、1分間あたり266文字、ひらがなと漢字が適当に交じっている平均的なケースです。ところが、オンラインになったとき、この同じスピードで話そうとすると、なかなか聞き手がついてきません。
五感のうち視覚、聴覚しか使えないことで、理解度とインパクトが落ちがちだからです。そこで同じ文字数で喋られると、言葉の判断ができない場合があります。簡単に言えば、わかりにくいのです。
私たちは、相手の顔がよく見えれば、耳で聞き取れなくても、唇の形を読んで単語を判断したり、相手の全体の服装で信憑性を判断したりもできます。
ところが、オンラインでは画面の中だけなので、言葉の周辺にあって意味を補助するスキルが十分に使えないのです。したがって1分間あたりの文字数をやや減らしてゆっくり話す必要があります。
これについては最近の私の実験データがあります。普段1分間あたり266文字で話している私の1分間のスピーチを240文字にする。つまり10%文字数を減らしてオンライン研修の参加者(被験者)に聞いてもらいました。これでも十分わかると好評でした。
私は人様にスピーチや演説を教えている立場ですから、相当に普段の発音がクリアです。他の発表者と同じ内容のスピーチをしても、議事録を作るスクリプターの方々から「アヤコ先生の声はテープ起こしが楽です」と、よく言われます。
対面でも普段、発声・発音の訓練をしていない人は、さらに10%落として20%減らした文字数で話すことをお勧めします。
大きい声より「強弱のある声」で
どんなに大きい声を出しても、その大きな声のトーンを変えずに話し続けると、聞き手は居眠りしてしまいます。
大騒音の中で育った子が、慣れてしまえば昼寝もできるのと同じです。
相手が関心を持つための声には、強弱が必要です。
小さな声で囁くように話していたと思ったら、ガンと声のボリュームが上がって、そこが突出する。逆に強い調子で話しているところで、急に声のトーンを落とす。
これを「プロミネンス」と言います。
プロミネンスは「突出」という意味です。とがったところという意味です。音声の専門家たちはこれを「言葉を立てる」というふうに言います。
オンラインの中では淡々と言わずに、どこにプロミネンスを置くか、原稿でマーカーをつけておいてもいいし、そこだけ文字をでんと大きくしてもいいです。
そのマーカーの言葉の直前で、ほんの一瞬のポーズを置きましょう。そして「タメ」を作って「バン」とプロミネンスをぶつける。そうするとメリハリが効いた印象になります。それが話を高い集中力を保って聞いてもらうコツです。
オンラインでズバリ伝える力
すっかり定着したテレワーク。それとともに増えているのが、オンライン独特のコミュニケーションに関するお悩みです。対面で会うのと違って、うまく相手に伝わらない、相手の話に集中できない……。そんなあなたに読んでほしいのが、パフォーマンス心理学の第一人者、佐藤綾子さんの『オンラインでズバリ伝える力』。アフターコロナの時代になっても、オンラインの活用は続くと見られる今、ぜひ身につけておきたい本書のメソッドをいくつかご紹介します。