フィンランドは、世界幸福度ランキングで5年連続第1位に!
マリメッコやムーミンなど可愛いイメージがありますが、実は教育・医療・デジタルなどの多分野で最先端を走っています。
ロシアやスウェーデンといった大国に挟まれ貧しかったフィンランドは、どうやって変わってきたのか。
フィンランド流の新しい考え方がわかる『フィンランドはなぜ「世界一幸せな国」になったのか』より、一部を抜粋してお届けします。
* * *
中学生、アルバイトではなく仕事をする
初めて息子が働いたのは、中学3年の夏。市立図書館での「夏の仕事」だった。学校は6月から8月半ばまで2ヶ月半の夏休みで、大人も1、2ヶ月の夏休みを取る人が多い。場合によっては、大人の仕事の穴埋めをしつつ仕事を体験、収入を得るのが「夏の仕事」だ。フィンランドにアルバイトという概念はなく、すべて「仕事」と呼ばれる。「夏の仕事」の募集は3月頃には始まり、オンライン上の募集を探す、自分で会社に電話する、訪問する、自治体の募集に応募する、親の友人知人に仕事を紹介してもらうなどする。
14、5歳から始めることができ、よく見かけるのはアイスクリームスタンドやスーパーで働く高校生だ。期間はそれぞれ異なるが、夏休み中ずっと働くわけではなく、1ヶ月程度は夏休みとして過ごすケースが多いようだ。
夏の仕事で公正な条件で働くことやワークルールを学び、人生最初の税金カードをもらって、労働市場に組み入れられていくことになる。税金カードが郵送されてくるが、デジタル化された税務署のホームページに自分のアカウントも持てる。
17歳以降は、夏の仕事で得た収入は将来の年金に計算される。フィンランドは生涯学び続けるという考えが強く、学生と社会人の二分化はない。卒業し就職すると初めて「社会に出る」ことにならないのは、こうした制度にも感じられる。高校生のアルバイトは禁止されていることが多い日本とは、とても異なる制度だ。
就職時期は自分で決める
多くのOECD諸国同様、フィンランドには高校卒業後すぐ大学進学、大学卒業後すぐ就職という制度がない。高校と職業学校は6月初め頃に卒業だが、卒業後はしばらく勉学を離れて旅行するなどは普通だ。しかし、以前は大学に入学する年齢が26歳以上と高かったことへの批判から、あまり間をおかずに入学することが奨励されるようになり、現在、大学入学の平均年齢は22~23歳である。
日本では大学3年頃から就職活動を始め、4年の3月に一斉卒業、4月に一斉就職という慣行が続いてきた。日本の就職という概念は、集団就職的な意味合いが強い。個人の生き方より国の経済を優先させるシステムで、22~23歳というとても若い人たち、就職できないと人生の落伍者(らくごしゃ)であるかのように思わされてきた。
フィンランドの高校や大学は就職の窓口を持たないので、基本的に仕事は自分で探す。求人のオンラインサイトがいくつかあり、場所と職種でサーチする。卒業してから仕事につく、という順序が決まっているわけでもない。「仕事があるから、修士論文を書く時間がない」というのは、よく聞くセリフだ。また、初めから正社員として働くよりも、いくつかの仕事や職場を経て自分にあった仕事を見つけ、正規のポジションを得ていくことが多い。公募があれば応募して、より良い条件の仕事に移っていくのは普通だ。そこには、若いときから一つの職場に縛られず流動性が高いというメリットがある。
フィンランドはなぜ「世界一幸せな国」になったのかの記事をもっと読む
フィンランドはなぜ「世界一幸せな国」になったのか
フィンランドは、世界幸福度ランキングで5年連続第1位に!
マリメッコやムーミンなど可愛いイメージがありますが、実は教育・医療・デジタルなどの多分野で最先端を走っています。
ロシアやスウェーデンといった大国に挟まれ貧しかったフィンランドは、どうやって変わってきたのか。
フィンランド流の新しい考え方がわかる『フィンランドはなぜ「世界一幸せな国」になったのか』より、一部を抜粋してお届けします。