2023年10月1日から始まるインボイス制度。2029年までは経過措置が設けられていますが、「インボイス」という言葉がひとり歩きして不安に感じている方も多いのではないでしょうか。インボイス制度の前提となる消費税の知識から細かな注意点、事業者の選択肢などを豊富な図表で解説した書籍『知識ゼロからのインボイス制度』より、一部を抜粋してお届けします。
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電子インボイスの保存にも注意が必要
書面で受領したインボイスは、そのまま保存できますが、電子メールに添付されたPDFやクラウドシステムからダウンロードした電子インボイスをそのまま保存しておけばよいわけではないので注意が必要です。
電子データは記載内容の変更、改ざんが容易であるため、受領したデータに何も変更を加えていないことを証明する必要があります。
受領したインボイスに変更を加えていないことを証明するためには、例えば、訂正や削除を防止する規定を定めて運用する、受領後にタイムスタンプを自ら付与する、売り手からタイムスタンプを付与して送付してもらう、訂正・削除ができないシステムを導入するなどの方法で運用する必要があります。
また、保存されたデータはルールに基づいて保存を行う必要があります。保存データの種類や量が多く、管理が困難な場合には、検索機能が担保されたシステムなどを活用する方法があります。
受領した書面の電子保存
紙で交付されたインボイスを電子保存することも認められています。紙のインボイスを電子保存する際には、スキャナやスマートフォンなどで読み取って電子化して保存します。スキャナ保存をうまく活用することで、紙の保管にかかる費用の削減などの効果も期待できます。
ただし、スキャナやスマートフォンなどで電子保存する場合には、電子帳簿保存法で定められた要件を満たす必要があります。
例えば、解像度などを規定したスキャナ保存の要件、電子データを適切に管理するためのシステムに関する要件などを満たす必要があり、保存する電子データは修正や改ざんがない本物であることを、誰もが確認できる状態の確保が求められます。
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インボイス制度についてもっと詳しく知りたい方は書籍『知識ゼロからのインボイス制度』をご覧ください。