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フィンランドで暮らしてみた

2023.10.20 公開 ポスト

フィンランドの「牛離れ」問題芹澤桂(小説家)

ステーキがむしょうに食べたい、という衝動が1、2か月に一度ほどやってくる。

おそらくは貧血気味だとかタンパク質が足りていないとかそんな体のサインなのだろう。強く食べたいと思うのは鶏でも豚でもなく決まって牛肉で、日本のようにサシの入ったリッチなステーキ肉は市場にあまりないものの、私好みの赤身をスーパーで買ってきて焼いて、いつも手軽にその欲求を満たしている。

高温に熱した油に、その日の気分で選んだ塩(我が家には6種類ほどの塩が常備されている)と黒コショウをまとわせた肉を入れ、素早くこんがりと焼く。そのあとはホイルで包んで休ませ芯までミディアムになるよう待ち、その間にフライパンに残った肉汁でグレイビーソースかしょうゆベースのソースかを作る。付け合わせは米か芋か。私は米派だけど、たまにオーブンでじっくり焼き上げるベイクドポテトもいい。

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芹澤桂 小説家

1983年生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。2008年「ファディダディ・ストーカーズ」にて第2回パピルス新人賞特別賞を受賞しデビュー。ヘルシンキ在住。

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