近くの農園に住んでいる犬は元々保護犬だった。
最初の飼い主に虐待されていたらしく、人間が怖くてすぐに吠える。体の大きな猟犬だから迫力がすごい。子供だけじゃなく大人でも怖い。
特に危険なのはご飯どきだ。その犬は食べ物に異様な執着を見せていて、食べ物を与えようとする人間に襲いかかってしまうのだ。
「きっとご飯をろくに貰ってなかったんだろうねえ」
と、農園に集うみんなはその犬のことを憐れむ。憐れめば憐れむほど、たくさんご飯をあげたくなる。しかしご飯を持っていくとすごい剣幕で吠えられてしまうのだ。
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愛の病
恋愛小説の名手は、「日常」からどんな「物語」を見出すのか。まるで、一遍の小説を読んでいるかのような読後感を味わえる名エッセイです。