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愛の病

2024.05.11 公開 ポスト

旅をする母狗飼恭子

 母の日のプレゼントに特別なセットを! 
 と、化粧品サイトからのメールが立て続けに届いて、でも読めなくてそのままゴミ箱へ入れた。

 わたしだって母に「特別なセット」をプレゼントしたい。だけどできないから、そのセットに何が含まれるかもあんまり知りたくない自分がいる。

 都心に住んでいたころは五月になると、花屋の前を通るたびにカーネーションを見て胸が苦しくなったものだけれど、今住んでいる村には花屋がないから良かった。

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愛の病

恋愛小説の名手は、「日常」からどんな「物語」を見出すのか。まるで、一遍の小説を読んでいるかのような読後感を味わえる名エッセイです。

 

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狗飼恭子

1974年埼玉県生まれ。92年に第一回TOKYO FM「LOVE STATION」ショート・ストーリー・グランプリにて佳作受賞。高校在学中より雑誌等に作品を発表。95年に小説第一作『冷蔵庫を壊す』を刊行。著書に『あいたい気持ち』『一緒にいたい人』『愛のようなもの』『低温火傷(全三巻)』『好き』『愛の病』など。また映画脚本に「天国の本屋~恋火」「ストロベリーショートケイクス」「未来予想図~ア・イ・シ・テ・ルのサイン~」「スイートリトルライズ」「百瀬、こっちを向いて。」「風の電話」などがある。ドラマ脚本に「大阪環状線」「女ともだち」などがある。最新小説は『一緒に絶望いたしましょうか』。

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