第1の武器「整える力」。睡眠不足でバカになる樺沢紫苑

精神科医・樺沢紫苑さんの、記念すべき50冊目の著書『19歳までに手に入れる7つの武器』は、アフターコロナとAI時代に対応した、最新版にして決定版の「“人生”というゲームの完全攻略本」！
発売直後から「社会人になる前に読みたかった！」との声も続々届いています。
本連載では、書籍から抜粋して、7つの武器をご紹介します。実は、何歳からでも遅くはありません。7つの武器を手に入れれば、人生は必ずうまくいく。あなたに足りない武器が何か、ぜひ確認してください。

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脳のメンテナンスが不十分だとバカになる

睡眠不足は、成人においても、病気リスクを高め、健康に甚大な影響を与えます。成長ざかりの十代の場合、その悪影響はさらに深刻です。

脳は５〜６歳までに成人の脳重量の90％に達するものの、まだまだ思春期では未成熟です。特に大脳皮質の3割を占める脳の司令塔・前頭前野の回路は、中学生、高校生の時期に鍛えられ、二十代の前半頃に完成します。

睡眠中は成長ホルモンが分泌し、筋肉や骨は夜間に育ちますが、身体だけではなく、脳も寝ている間に活発に働いています。

最近の研究では、睡眠中のレム睡眠（夢を見るときの睡眠） では、脳の毛細血管の血流量が、日中の２倍に増えていることがわかりました。

毛細血管では、栄養と老廃物の交換が行われます。寝ている間に老廃物を掃除し、物理的なメンテナンスをしているのです。

また、レム睡眠中には、記憶の整理なども行われています。
睡眠不足が続くと、アルツハイマー型認知症の原因物質といわれる、神経毒性の強いタンパク質「アミロイドβ」がたまっていきます。しかし、６時間半以上の睡眠で、この物質は掃除され排出されるので、しっかりと寝るだけで認知症の予防ができます。

睡眠をしっかりとらなければ、この脳のメンテナンス、疲労回復、成長、記憶の整理など、さまざまな活動が不十分になります。ザックリいえば、睡眠不足で頭が悪くなるのです。

思春期は「成長のゴールデンタイム」 です。その重要な時期に、しっかりと睡眠をとって脳を育てるのか、それとも睡眠不足で脳を破壊するのか。

前頭前野は、「集中力」「記憶力」「思考力」「感情コントロール」「衝動の抑制」と関わっています。その成長が不十分なまま、成長のゴールデンタイムを終えてしまったら、どうなるのでしょう？　仕事に集中できず、もの覚えも悪くミスを連発する。感情が不安定で、イライラや不安も多い。ストレスにも弱く、すぐに落ち込む。そんな状態では、社会人としてバリバリ働くことは不可能です。

睡眠は、植物を育てるための水のようなものです。十分に水を与えて、大きく育てて、豊かに実らせるのか。それとも、水をケチって枯らしてしまうのか。

思春期の睡眠で、あなたの一生の脳が作られる。思春期に著しい睡眠不足で脳のメンテナンスができないとしたら……「バカになる」といっても過言ではありません。

睡眠不足が引き起こす10の深刻な影響

• ① 学校の成績が悪くなる
• ② 覚えた内容が記憶として定着しない。勉強や練習の成果が出ない
• ③ 脳が成長しない。脳が破壊される
• ④ ミスが多くなる。発達障害と勘違いする
• ⑤ 意欲が低下し、何もする気がなくなる
• ⑥ 体調不良になる。自律神経が乱れる。起立性調節障害になる
• ⑦ モテない、外見的魅力がなくなる
• ⑧ 感情が不安定になる。人間関係が破壊される
• ⑨ うつ病、自殺、依存症のリスクを高める
• ⑩ 不安が強まる

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「10の深刻な影響」については、書籍にて詳細に解説しています。この続きはぜひ書籍でご確認ください。