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強いチームはなぜ「明るい」のか

2024.08.18 公開 ポスト

「明るい=雰囲気がいい」チームに見られる7つの特徴とは吉岡眞司(人財教育家)

今年も甲子園シーズンが開幕!昨年は、強豪校ひしめくなか107年ぶりの優勝を飾った慶應義塾高校が話題となりました。「エンジョイ・ベースボール」の精神を掲げ、高校球児のトレードマークとも言える丸刈りを押し付けない等、自由な雰囲気で知られる慶應の野球部。加えてその躍進の裏には、ある「メンタルトレーニング」の存在がありました。先日発売になった新書『強いチームはなぜ「明るい」のか』の著者は、その慶應のメンタルコーチを務めている吉岡眞司さん。不利な状況でも瞬時に心をポジティブにし、良い結果に繋げていく秘訣は何なのか。ご紹介していきます。

「明るい=雰囲気のいい」チームに見られる7つの特徴

慶大、そして塾高と2つの野球部で、監督やコーチ、部員たちと直接やり取りをし、チームの変化とグラウンド上での活躍を間近で見てきた経験からも、私には一つ、確信を持って言えることがあります。

それは、成果を挙げているチームは「明るい」ということ。

ここでの「明るい」とは、おちゃらけていたり、意味もなく騒いだりしている、という意味では決してありません。練習はつらいことや苦しいことも多いですし、監督やキャプテンから時に厳しい声が飛ぶこともあります。それでも、チーム全体が活気にあふれていて、良い緊張感があり、部員たちが主体性を持って、今行うべきことに集中している──この状態を一言で言い表すのは難しいのですが、「雰囲気がいい」のです。

その「明るい=雰囲気のいい」チームには、次のような特徴が見られます。

  • 個々のメンバーが、チームにおける自分の役割・立場を自覚し、指示を待つことなく自ら考え、主体的に行動している。
  • メンバー同士がお互いに尊重し合い、仲間を思いやる心や感謝の気持ちを持っている。
  • 「ありがとう!」「いいね!」などのポジティブな言葉が飛び交っている。
  • メンバー各々がいい表情をしている。
  • 大きな目標を掲げている。それが、側から見ると「そんなの無理」と思えるようなレベルのものであっても、メンバー全員が「絶対に実現できる」と信じている。
  • その目標の実現に向けて、一人ひとりがコツコツと努力している。心身を追い込むような練習も、チームで励まし合いながらいい表情で乗り越えている。
  • 仲間がミスをしてもなじったり怒ったりすることなく、その仲間を励まし、勇気づける言葉をかけている。また、一人のミスをほかのメンバーでカバーしようと行動している。

お気づきの方もいると思いますが、ここに挙げた特徴は、スポーツの分野だけにかぎったことではありません。ビジネス、研究、芸術など、すべてに当てはまることなのです。

「会社の仕事で『明るさ』は必要なのか?」と思う方もいるかもしれません。しかし、ビジネスシーンにおいても、明るい組織やチームは、上司・部下にかかわらず気軽に話せる雰囲気があるので、相談がしやすく情報共有が円滑に進みます。時には雑談に興じながらも、一人ひとりが仕事に集中し、メンバー個々が高いモチベーションを保ち、主体的に動くので、高い実績を挙げることができるのです。

チームや組織の明るさというものは、それを率いるリーダーや、そこに集うメンバーの「明るさ」があってこそ生まれるもの。

では、この「明るさ」とはいったい何から生まれるのでしょうか?

それは、心の状態を自らコントロールし、どんな状況でも自分の持つ力を100%発揮できるように努めること、これに尽きます。先に述べた塾高の選手たちの「ありがとう」という言葉の応酬、相手チームのファインプレーに対する拍手などは、すべてがここに繋がっているのです。

肯定的に脳を「だます」ことで、パフォーマンスは最大化できる

心の状態をセルフコントロールすることは、トレーニング次第で誰でも身につけることができます。そのポイントは、私たちの脳のメカニズムをきちんと理解し、脳に肯定的な「錯覚」を起こさせること。誤解を恐れずに言うと、脳をうまく「だます」ことで、マイナスに傾いた心の状態をプラスに引き寄せることができるのです。

私は、盛和塾、ならびに日本航空で稲盛和夫さんに師事し学んだ人間学を基軸に、大脳生理学と心理学に裏付けられたメンタルトレーニング理論「SBTスーパーブレイントレーニング(以下、「SBT」と記す)」と、人間学を育む月刊誌『致知』を活用した勉強会をミックスさせたプログラムを使い、塾高・慶大の野球部、箕面自由学園高等学校チアリーダー部などをチーム指導しています。また、スポーツ分野だけでなく、受験生やビジネスパーソンなど、個人のメンタルサポートにも携わってきました。

そのプログラムの中から、個人あるいはチームのパフォーマンスを最大限に引き出すための基礎的な理論やメソッドを本書では紹介していきます。

第1章では、メソッドの軸となる脳の基本的な特徴や、「プラスの出力」で感情をコントロールする仕組みについてお話しします。

第2章から第5章までは、主に個人にフォーカスし、「目標」を掲げることの大切さ、「目標」を達成するために重要な「スモールステップ」などについて紹介します。

第6章、第7章ではチームに視点を移し、組織全体でパフォーマンスを最大化し、成果を挙げるためのメソッドなどをお話しします。

素直に取り組むことが成功への近道

本書で紹介する内容に、難しいものは何一つありません。大事なのは、少しずつでもいいので日常に取り入れ、実践し、習慣化することです。塾高や慶大の選手たちも、素直にトレーニングに取り組み、グラウンド上だけでなく、学校や自宅など日常生活でも実践していました。だからこそ、甲子園や全国大会の大舞台でもそれを実行することができ、臆することなく持てる以上のパフォーマンスを発揮し、日本一という栄冠を摑むことができたのです。

チームの戦績や業績を高めたい。メンバーから頼りにされるリーダーでありたい。何事もあきらめていた自分を変え、自信を身につけたい。

そう願う方はぜひ、本書をきっかけに、思考と意識を変える一歩を踏み出してみませんか。自らの意思さえあれば、眠っているポテンシャルを引き出し、人生を飛躍的に好転させることは誰でもできるのです。

関連書籍

吉岡眞司『強いチームはなぜ「明るい」のか』

「明るさ」にはとてつもない“底力″がある 慶應義塾高校を107年ぶりの甲子園優勝に導いた、負け知らずのメンタル術 2023年の全国高等学校野球選手権大会で、107年ぶりに優勝した慶應義塾高校。その舞台裏には、ある″メンタルトレーニング″の存在があった。対戦相手のファインプレーにも拍手をし、苦しい展開でも「いいぞ!」とベンチからエールを送る、ジャンケンで負けても「よっしゃ!」と喜ぶ――たとえ不利な状況でも、前向きな言動で心をポジティブにし、良い結果に繋がるよう仕向けるのだ。スポーツ、ビジネス、ダイエット、受験等々、あらゆる分野に活用でき、必ず目標達成ができるようになる必勝の一冊。

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強いチームはなぜ「明るい」のか

慶應義塾高校を107年ぶりの甲子園優勝に導いた、負け知らずのメンタル術

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吉岡眞司 人財教育家

慶應義塾体育会野球部・慶應義塾高等学校野球部人財育成・メンタルコーチ。SBTアスリートメンタルコーチ&1級メンタルコーチ。慶應義塾大学卒業後、神戸製鋼所で入社2年目から国家プロジェクトをマネジメント。その手腕を見込まれ、日本航空株式会社に転籍。営業・企画部門におけるトップマネジメント経験を経て、2015年に能力開発向上フォーラムを創立し代表理事に就任。さまざまな分野で、人間力の醸成とメンタルタフネスをつくるサポートを行い、圧倒的な実績をあげている。

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