AIに淘汰されかねない時代は、見方を変えれば、AIを使いこなすことで大化けできる時代でもある。ただし、そこは、偏差値などの評価基準はほぼ意味を持たない世界だ!
いったい、どんな側面に注目して子どもを伸ばしていけばいいのか?「伸びしろのある子ども」とはどんなタイプなのか?
富永雄輔さんの最新刊『AIに潰されない「頭のいい子」の育て方』の中で紹介している全12のポイントより、抜粋して紹介!
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5 負けた回数が多い――大人になってからの負けはダメージ大!
子どもに中学受験をさせようと考えている親の多くは、非常に謙虚です。たとえ難関校に受かったとしても「我が子は優秀だ」と鼻高々になったりはせず、子どもにも「自分は優秀なんだ」と思わせないように心を砕いています。
そうした理解の深い親が我が子に中学受験をさせる目的の一つに、「神童にしたくない」ということがあります。
中学生から難関校に入るような子どもは、周囲から神童扱いされがちです。しかし、毎年、灘中学校に約200人、開成中学校に約300人、麻布中学校に約300人が入学します。ほかの難関中学校も入れたら、優に1000人を超えます。それが、毎年積み重なっていくのですから、実はたいした存在ではないわけです。
このように、本当は「まあ優秀」程度なのに「神童だ」と言われて育った子どもたちは、難関中学校に入って「ええ!」と慌てることになります。周囲には、自分を超える同級生がごまんといるからです。
でも、それは悪いことではありません。「優秀なはずの自分が負けた」という体験が中学校の時点でできるのは素晴らしいことです。中学受験をさせる親が子どもに望んでいるのは、この「負け体験」です。
たとえば、開成から東大に進んだ人は、自分が優秀だとは思っていません。むしろ謙虚です。そういう人が同窓生にごろごろいるし、そもそも開成在学中にたくさん負けてきました。
このように、早くから負ける体験をしていないと、大学に入って、あるいは社会人になってからの負けはダメージが大きく、心が折れかねません。
子どもの頃は体重が軽いし体も柔らかいから、転んでも骨折しません。でも、80歳で転ぶと骨折して寝たきりになりやすいですね。頭が柔らかいうちに、我が子に負ける体験をさせてあげましょう。
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【新刊】AIに潰されない「頭のいい子」の育て方
生成AIの台頭により、5年後には今ある職業の2割が消えると言われる。まず淘汰されるのは、ホワイトカラーの中のエリート層だ。そんな時代の「頭のよさ」とは何なのか。親は何を目指して子どもを育てればいいのか。「親自身の成功体験を忘れろ」「“一つを極めろ”より、“あれもこれも”の選択肢を」「いつも勝てる場より、競争を」など、親の価値観転換を迫る緊急提言とともに、「愛嬌がある」「負けた回数が多い」など、伸び伸びと強く生きていける子どもの特徴も解説。子どもの未来への不安を払拭する、きれいごと抜きの実践的子育て論。
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