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数字から考える幸せわが家

2024.10.05 公開 ポスト

「いつもの暮らし」が「もしもの備え」6割以上が地震対策が不十分と感じるも“今できる備え”で防災力は高められる河﨑由美子(積水ハウス株式会社 フェロー R&D本部)

みなさん、こんにちは。暮らし提案の専門家 積水ハウスフェローの河﨑由美子です。

今回は、“わが家の防災力”を取り上げます。8月に南海トラフ地震臨時情報が発表され、自宅の防災グッズや備蓄の日用品・食料を見直した人も多かったのではないでしょうか。

日ごろから防災意識を高めておきたいところです。

今回は災害に備えて少しでも安心できるような暮らしのヒントをまとめてみました。

 

地震対策のうち、日用品や食品の備蓄を行えているのは3割

みなさんは、“もしもの備え”について不安な点はありませんか。積水ハウスの調査で、自宅での地震対策は十分に行えているかどうかを聞いたところ、「そう思う」と回答した人はすべての項目において1割未満、「ややそう思う」と回答した人を含めても「日用品の備蓄」「食料・飲料の備蓄」「安全の確保」はそれぞれ約3割、「停電・断水・ガスの停止・通信障害等の対策」は約2割と、自信をもって自宅での地震対策ができていると考えている人は意外にも少なく、6割以上の人は不十分と感じていることがわかりました。

「いつもの暮らし」が「もしもの備え」

災害時に避難所ではなく家で過ごせるほうが安心ですね。

そのためには、災害が起きたときに少しでも安心できる暮らしのヒントをご紹介します。

いつもの食品をストックすれば、立派な非常食に

災害に備える食料というと、カンパンなど特別な食品を用意するものと考えていませんか。

実は、非常食として用意するのは、災害用の備蓄食ではなく、普段から食べなれていて、日持ちする食品が最適です。

そのため食料品は7日分はストックするようにしましょう。1日3食が7日間で21食分×家族の人数が目安です。食品には消費期限があるので、食品を消費しながら常に新しく備える方法が「ローリングストック」です。

たとえば、月に1日は必ず非常食を食べる日として、「ちょっと冒険して買ってみたレトルト食品の試食デー」にするのも、楽しい時間になりそうですね。

たかが「歯磨き」されど「歯磨き」

普段の歯磨きには、ペーストの歯磨き粉を使う人が多いのではないでしょうか。

ところが災害時は断水などで水が不足するため、水でうがいをする歯磨きができないこともあります。

歯磨きをしないと、口の中の細菌が増加し、細菌が肺に入ると誤嚥性肺炎になることも。口の中の衛生が保てないと、命にかかわることもあるのです。

そこで非常時に活躍するのが、液体歯磨き、ペーパー歯磨き、歯磨きガムなどです。これらをいつもの暮らしの中で使う習慣をつけておけば、災害時にも抵抗なく使うことができます。

からっぽの旅行カバンを防災カバンに

常備薬、マスク、スリッパ、タオルなど。旅行グッズと防災グッズは、意外と兼用できるものが多くあります。

そこで日ごろから旅行カバンには、旅行グッズや非常時に役立つグッズを詰めて、「防災カバン」をつくっておくのはいかがでしょうか。

小銭や千円札も用意しておきましょう

クレジットや電子マネーの普及で、現金を持たない人も増えてきましたが、いざ災害が発生して停電になると、ATMからお金を引き出すことができず、カード決済もできなくなることが予想されます。

そのため、普段から現金、特に「小銭」や「千円札」を多めにストックしておくことがポイントです。

ラジオは災害時の貴重な情報源

災害が発生し停電すると、テレビは視聴できなくなり、電池使用量の多いスマホなどもバッテリーが切れると、使えなくなってしまいます。

そんな非常時に活躍するのが、乾電池を電源とするラジオです。ラジオは比較的、電池使用量が少ないため、乾電池さえ入れておけば、かなり長く使うことができます。懐中電灯付きタイプや手回し発電式などもあるので、用意しておくとよいでしょう。

ながら聞きできるラジオは家事をしているときのBGMにもぴったり。テレビや動画派の方も、動作確認も兼ねてたまに聞いてみてはいかがでしょうか。

わが家にぴったりの灯りを備えておきましょう

「懐中電灯」「ランタン」「ヘッドライト」など、わが家に適した灯りを用意しましょう。もしこれから購入する人は、LEDライト、ソーラー発電や手回し充電などの機能のものを選ぶのが良いでしょう。

用意した灯りは防災カバンにしまい込むのではなく、日常生活の中でも使ってみましょう。

たとえば、寝室のベッドサイドにランタンを置けば、読書や就寝準備にもちょうどよい灯りになりますよ。アウトドアや作業用に使うヘッドライトも、もしものときには両手が使えて便利です。

非常用トイレを用意しよう

人間は1日に平均5回はトイレを使用すると言われています。災害が起こり、断水や停電などでトレイが使用できなくなるのは大問題です。

便座にかぶせるビニール袋、凝固剤または給水シート、消臭剤がセットになった非常用トイレは自宅に備えておきましょう。

緊急時に非常用トイレの用意がない場合は、ゴミ袋をトイレの便座にかぶせ、吸水用にちぎった新聞紙もしくはおむつを入れると非常用のトイレの代用になります。臭いは、ペット用の防臭袋があれば、活用できます。あるいは、ラップでしっかり密閉すれば、臭い漏れを防ぐことができます。

ラップは、いつもの暮らしの中でも、におい漏れの気になるものを包んで使うのにもお勧めです。さらに災害時は、ケガの応急処置や食器のカバーなどと様々な使い方ができるので、日ごろから多めにストックしておくと安心ですね。

体力づくりも大切な防災

地震が起きたときにどんな行動をとりますか。安全な場所に避難したり、電車が止まって歩いて帰宅しなければならなかったり。あるいは、断水のために吸水場所から重い水を運ばなければならないなど、災害時は様々な面で「体力」が求められます。

「体力づくり」は、まさに自分の身に付ける防災です。日ごろから非常に必要となる体力をつけて備えましょう。

居どころである家は、安全ですか

寝室やリビングなど長くいる部屋を、安全な場所にしておくことが、もしもの時の「安心」につながります。

特にリビングは、すっきり片付いていると安全な場所ですが、転倒しそうな家具や棚から落ちそうなものが多いと危険な場所にもなります。

ものを減らしてすっきり片づけておけば、普段の暮らしも気持ちが良いものですよね。

災害は、いつ起こるかわかりません。

わざわざする"もしも"の備えから、日々の暮らしに取り込みやすい”いつも”の備えで、快適で安心な暮らしにアップデートしてみませんか。

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数字から考える幸せわが家

幸せのかたちは、家族やライフスタイルの多様な変化に合わせて変わっていくもの。ほんの少しの知恵や工夫で、わが家がもっと好きになる。積水ハウスの住生活研究所から“住めば住むほど幸せ住まい”研究に基づく、暮らしのヒントやエッセンスをご紹介していきます。研究データや意識調査、リアルな実例をもとに「ちょっとやってみようかな」と思ってもらえるコラムを更新しています。

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河﨑由美子 積水ハウス株式会社 フェロー R&D本部

海外で過ごした経験や子育て経験などを生かし、住めば住むほど幸せすまい、子どもための住まい環境、ペット、収納、食空間、家事のユニバーサルデザインなど、日々の生活に密着した分野の研究開発全般に携わる。一級建築士。

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