世の中の #トホホ を拾い集めては披露してくれる、歌人芸人の岡本雄矢さん。子供の才能と向き合って、混乱…?!
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ぐちゃぐちゃに針金曲げて「ロンドンの夜景」と名付けた五年生 いいね
先日、先輩芸人さんが小学五年生の娘さんの話を聞かせてくれました。
娘さんが学校の授業で、針金アートを作った時のこと。
他の子供たちは針金を曲げて犬や猫の形にしているのに、娘さんは訳もわからない形にぐちゃぐちゃに曲げた作品を作ったそうです。
そして、その作品に彼女は「ロンドンの夜景」と名付けたそうです。
娘さんの作品を見せてもらいました。申し訳ないですが、僕には「ロンドンの夜景」の感じは、まったく伝わってきませんでした。
ただ、その独自の発想、そして小学五年生で作品に「ロンドンの夜景」と名付けるセンス。
僕はそのことに、ただただ驚きを感じました。
僕は先輩に聞きます。
「娘さん、なんでそんな作品作ったんですかね?」
先輩は答えます。
「なんでだろうな」
「なんで『ロンドンの夜景』なんて名付けたんですかね?」
「なんでだろうな」
「『ロンドンの夜景』なんて言葉どこで知ったんですかね?」
「どこでだろうな?」
「え? 聞いてないんですか?」
「聞いてない」
「え? なんでですか?」
「作品について色々聞くのは野暮だろ」
たしかに作品は作品で成立しているものなので、それについてあれこれ聞くことは野暮なのかもしれません。
だけど娘さんですよ!
娘さんが、どういう経緯でその作品を作ったのか? それを知りたいのが親じゃないんですか?
その気持ちを先輩にぶつけましたが、先輩は最後まで聞く気はないという意思を曲げませんでした。
針金は曲がったけど、先輩の意思は曲がりませんでした。
僕には子どもがいないのでわからないのですが、親ってこういうものなんでしょうか?
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読めば読むほど、なぜか幸せな気持ちにしてくれる短歌&エッセイをお楽しみください。
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僕の不幸を短歌にしてみました(エッセイつき)
著者は、主に”不幸短歌”を詠む「日本にただ1人(たぶん)の歌人芸人」。
よく失敗する、言いたいことが言えない、反論したくても返せない、なぜ自分だけこんな目に合うのかといつも思う、自分には劇的なことが起こってくれないと嘆いて生きている……。
そんな著者から見える”世界”を、フリースタイルな短歌(&ときどきエッセイ)にしてお届け。
もしあなたが自分のことを「不幸だ」と思っているなら、「もっと不幸な男」がここにいると思ってください。
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