1. Home
  2. 生き方
  3. 僕の不幸を短歌にしてみました(エッセイつき)
  4. 僕が悪口を言わない、2つの理由。

僕の不幸を短歌にしてみました(エッセイつき)

2024.11.04 公開 ポスト

僕が悪口を言わない、2つの理由。岡本雄矢( 主に“トホホ短歌”を詠む「日本に(たぶん)ただ1人の歌人芸人」)

世の中の #トホホ を拾い集めては披露してくれる、歌人芸人の岡本雄矢さん。ついつい言ってしまう悪口ですが…。
全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割』『センチメンタルに効くクスリ トホホは短歌で成仏させるの』絶賛発売中!

*   *   *

悪口は言わないだって悪口は本当に楽しすぎるものだし

 

 

悪口は言わないようにしています。

人に腹を立てたり、人のことを嫌いになったりすることがないわけではありません。

むしろよく人に腹を立てるし、人のことを嫌いになります。

悪口を言ったことがないわけでもありません。

たくさん悪口を言って生きてきました。

でも今は悪口は言わないようにしています。

理由は2つ。

ひとつめは、悪口はなにも生み出さないからです。

悪口はとても楽しいし、めちゃくちゃ盛り上がるものです。

だけど、言い終わった後、そこには将来や未来に残るものがなにもありません。

虚しさだけが残ります。

僕はその虚しさが、とても嫌いなのです。

そしてもうひとつの理由は、自分の嫌いなもので明日救われる誰かがいるかもしれないからです。

例えば、僕が他の芸人の悪口を言ったとします。

その悪口がその芸人に届いて、僕が恨まれたり嫌われたりするなら問題はありません。

しかし、もし僕の悪口のせいで、万が一その芸人さんが、芸人をやめてしまったりなんてしたら。

未来にその人で笑う予定だった誰かが、笑えなくなってしまいます。

未来にその人のお笑いに救われる誰かが、救われなくなってしまいます。

これは大変なことです。

考えすぎだと言われるかもしれませんが、誰かの未来を潰してしまうかもしれない。

そう想像をすると、僕はおそろしくてたまらないのです。

だから僕は悪口を言わないようにしています。

だからといって、悪口を言う人を否定する気はまったくありません。

言うことでストレスを発散させていい方向に向かうこともあるでしょうし、コミュニケーションのひとつとしてあった方がいい場面もあるとは承知しています。

悪口を言う人の悪口を言いたくて、この文章を書いてる訳ではありません。

ただ僕は言わないようにしているというだけの話です。

もし今後、僕が悪口を言ってる場面を見たら、おもいっきりぶっ叩いてください。

*   *   *

新刊『センチメンタルに効くクスリ トホホは短歌で成仏させるの』に続き、
全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割』が文庫に!
読めば読むほど、なぜか幸せな気持ちにしてくれる短歌&エッセイをお楽しみください。

 

関連書籍

岡本雄矢『センチメンタルに効くクスリ トホホは短歌で成仏させるの』

今日も世界の片隅で、ひとり膝を抱える僕とあなたのために。 不幸に愛された、トホホ名人……歌人芸人が身を切って綴る、“せつなさとおかしみ”、“短歌とエッセイ”のマリアージュ。

岡本雄矢『全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割』

昨日もトホホ、今日もトホホ。憂鬱だらけの毎日も、短歌に詠めば何かが変わる!「あの数ある自転車の中でただ1台倒れているのがそう僕のです」「さっきまで順調だったレジの列 急にもたつきだす僕の前」「ものすごい数のハトが集まっているおじさんに人は集まらない」他、105首の短歌とエッセイで綴る、ほろ苦さとおかしみに満ちた愛すべき日々。

{ この記事をシェアする }

僕の不幸を短歌にしてみました(エッセイつき)

著者は、主に”不幸短歌”を詠む「日本にただ1人(たぶん)の歌人芸人」。
よく失敗する、言いたいことが言えない、反論したくても返せない、なぜ自分だけこんな目に合うのかといつも思う、自分には劇的なことが起こってくれないと嘆いて生きている……。
そんな著者から見える”世界”を、フリースタイルな短歌(&ときどきエッセイ)にしてお届け。
もしあなたが自分のことを「不幸だ」と思っているなら、「もっと不幸な男」がここにいると思ってください。

バックナンバー

岡本雄矢 主に“トホホ短歌”を詠む「日本に(たぶん)ただ1人の歌人芸人」

詠み始めるとなんでも”トホホ短歌””不幸短歌”になってしまうという特徴を持つ、「日本にただ1人の歌人芸人」。1984年北海道生まれ。吉本興業所属。コンビ「スキンヘッドカメラ」で活動中。YouTubeで「芸人歌会」を開催。北海道新聞等で連載も。

短歌とエッセイを収録した初の著書『全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割』には、俵万智さん、穂村弘さん、板尾創路さんからアツい推薦文が寄せられた。

最新刊は『センチメンタルに効くクスリ トホホは短歌で成仏させるの』。

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP