しゃぼん玉を見ると、なぜこんなにロマンチックな気持ちになるの？岡本雄矢（ 主に“トホホ短歌”を詠む「日本に（たぶん）ただ1人の歌人芸人」）

世の中の #トホホ を拾い集めては披露してくれる、歌人芸人の岡本雄矢さん。今回は、岡本さんのロマンチックな一首。『全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割』『センチメンタルに効くクスリ　トホホは短歌で成仏させるの』絶賛発売中！

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のぼってくしゃぼん玉5人で見てる絶対壊れないと知ってる

この前、夕方に散歩をしていた時のこと。

公園で制服姿の高校生男女5人がしゃぼん玉をしていました。

そのしゃぼん玉はとても大きいタイプのもので、僕は思わず足を止めてしまいました。

1人の男子が大きいしゃぼん玉を作って、それを飛ばします。

しゃぼん玉はゆっくり空にのぼっていきます。

ゆっくりのぼっていくしゃぼん玉を、5人がじっと見上げます。

そこそこのぼったところでしゃぼん玉は壊れます。

次は1人の女子がしゃぼん玉を作って、飛ばします。

空にのぼっていくしゃぼん玉を5人がじっと見上げていて、そこそこのところでしゃぼん玉は壊れます。

5人はそれを何度も続けています。

喋りながら、笑いながらしゃぼん玉を作って、しゃぼん玉が飛ぶと、のぼってくしゃぼん玉をみんなでじっと見る。

壊れたら、また作る。

そんなことを何度も続けていました。

しゃぼん玉は壊れるけれど、この5人の関係は壊れないような気がします。

壊れないでほしいなと思いながら、僕は1人そこから離れました。

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読めば読むほど、なぜか幸せな気持ちにしてくれる短歌＆エッセイをお楽しみください。