ソリの合わない上司の下で、組織として最高のアウトプットを出すには……? 幹部自衛官を養成する日本最強の教育機関「防衛大学校」が教える、必ず結果を出すためのリーダーの哲学・所作を体系化した書籍『防衛大流 最強のリーダー』より、一部を抜粋してお届けします。
上司の力を引き出す「フォロワーシップ」とは
リーダーに必要な要素はリーダーシップだけではない。いざ、リーダーになるとリーダーシップだけでなくフォロワーシップも必要になる。
リーダーはチームを引っ張っていくlead(リード)に、フォロワー(部下)はチームを支えていくfollow(フォロー)に由来している。フォロワーシップとはリーダーを支える力と置き換えてもよい。
繰り返しになるがリーダーの仕事は「部下のポテンシャルを最大限に引き出し、部下の力を借りて、組織として最高のアウトプットを出すこと」だ。
企業の長である社長であれば思い切りリーダーシップを発揮して、組織として最高のアウトプットを出すことに専念すればよい。
ただ、組織の中のリーダーは社長だけではない。役員、部長、課長といった役職者もリーダーだ。彼らは部下に対してはリーダーシップを発揮する必要があり、上司に対しては最大のフォロワーシップを発揮する必要がある。
防衛大の上級生もそうであったが、一般企業にも様々な上司がいた。
全てが自分とフィーリングの合う上司であればよいが、そんなことはほとんどない。器が小さな上司、プライドがやたらと高い上司、部下の手柄を横取りする上司、結果しか見ない上司、ハラスメントをする上司……と、挙げ出したらキリがない。
このような上司の下だとしても、1人でも部下を持つリーダーになったのならば組織としての最高のアウトプットを出すことのみを考えなくてはならない。
「上司を知る」ために3つのことを3カ月続けてみる
フォロワーシップを発揮するために、最初にやらなければならないことは「上司を知る」ということだ。
よく知らない上司に対してフォロワーシップを発揮することはできない。よく知らない人同士が仕事を共にしてもそこにはストレスしか生まれない。
寡黙で多くを語らない上司が、実は壮大なビジョンを持っていた。我が強いと思っていた上司が、実は部下のことを誰よりも考えていたなんてことは往々にしてある。
フォロワーはこの「実は〇〇だった」というところを知る必要がある。
とはいえ、それが分かれば苦労しない、簡単に分からないから苦労している、というフォロワーもいると思う。実際に研修先の企業の中間管理職にもそういうフォロワーは多くいる。
そのような方には、次の3つのことを3カ月続けてみることをお勧めしている。
- (1) 上司に関心を持つ
- (2) 上司が周囲の人に対してどのように接しているのかを観察する
- (3) 毎日1回は1対1のコミュニケーションを取る
この3つは誰でもできる。
まず、上司に関心を持たないことには何も始まらない。関心を持つとは、言い換えれば興味を持つということだ。とことんまで興味を持って観察することをお勧めする。上司がどのような話で喜んでいるのか、上司が朝一番どのような表情で出社してくるのか、といったことを、まずは興味を持って観察してもらいたい。
次に、上司が周囲の人に対して、どのように接しているのかということを知る必要がある。これは上司の性格を知る上で、本当に効力を発揮する。部下の成果を褒める上司は、頑張る部下が好きであるし、周囲のご機嫌を取ろうとする上司は、自分に対しても機嫌を取ってくれる部下が好きだ。
そして、最低でも毎日1対1のコミュニケーションを取ってみる。これは上司との距離を縮めることに有効だ。接触回数の積み重ねから信頼関係は生まれる。上司もあなたのことを身近に感じるはずだ。
これらを行うのは、リーダーであるあなたには組織として最高のアウトプットを出すという責務があるからだということを忘れてはいけない。そのためには、上司の力も借りねばならない。上司の力を引き出すために必要なものがフォロワーシップだ。
優秀なリーダーは抜群のフォロワーシップを持っている。
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この続きは書籍『防衛大流 最強のリーダー』でお楽しみください。
防衛大流 最強のリーダー
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