ありがたいことに去年の12月から仕事が重なり、ずっとバタバタしている。
皆さん 今年のお正月はどうお過ごしでしたか?
一人暮らしの私は毎年お正月のお節などは作らない。
その代わり、自分の好きな食べ物(主に酒のつまみ系)だけを買って、
いつもは昼から飲まないのけど正月だけは、好きなつまみを片手にビールをグイっと。
そのあと日本酒をちびりちびりと飲み、ダラダラするのが私の恒例の正月である。
なので12月の後半からダラダラ正月用のつまみを
近所のスーパーやお気に入りの魚屋などで買い出ししたりしていた。
買い出ししててフト思いついた。
たまには私も贅沢がしたいと。
なんか一品くらい高級食材を食べながら新年を迎えたいと。
しかも誰にも分けず一人だけでむしゃむしゃ食べたいと。
なんかないかなぁとネットを見ていたら、あった。
普段は口に出来ない高級食材だけど私一人分くらいならなんとか買えるものが。
蟹だ。
あの、どんなお喋りさんも、身をほじっている時は押し黙り、全ての神経を集中させてから、やっと口に入るあの蟹だ。
私はエイヤ! とばかりにネットで蟹をポチった。
その瞬間から私の胸の中に小さな不安感が芽生えた。
なぜかと言えばポチった瞬間から思い出したのだ。
ネットの広告写真では身がたくさん詰まった蟹が所狭しと写っているが、
いざ頼んで実際に届いたら、殻についた身がほんの少ししかなく、
食べるというよりすするしか方法のないスカスカの蟹が届くというネットニュースの数々を。
私がネットで注文したのは12/10日
到着予定は12/30日
その20日間
私はずっと、蟹の身が少なかったらどうしようという不安を抱えながら暮らしていたのだ。
その間にドラマの撮影や大掃除をしながら時は過ぎ蟹が届く予定の12/30日となった。
蟹が届いたのは昼過ぎだった。恐る恐る発泡スチロールの箱を開けると
なんとネットの広告写真通りの立派な蟹が届いた!
急にご機嫌良くなった私はその足で、いつもは行かない高級酒屋に行き
一本四千円もする日本酒を買い、返す刀で498円のビールも買った。
あとは我が家に買ってある数の子、なます、黒豆、チャーシュー
そしてこんな多国籍な料理のトップに君臨するのが
身がこれでもかってくらい詰まっている蟹である。
ああ、幸せすぎる私。
毎年私は31日からお正月料理を食べ始める。
今日は30日
明日からの口の中が楽しみだ!
あえて前日の今日は、質素に納豆ご飯食べて寝て31日は昼からビール飲みながら
誰にも分けずに一人で蟹をむしゃぶり食べてやろう!
口の周りが蟹だらけになったって構うものか!
そんな私を見ているのは愛しい犬猫だけだ。
そんな夢いっぱいの思いを胸に30日の夜は寝た。
ぐっすり寝た。
31日の朝
風邪を引いてた。
熱がある。咳が出る。喉が痛い。身体がだるい。
何よりも食欲がない。
結局その風邪は完治までに2週間かかり
独り占めしようとした蟹は冷凍保存され、風邪が治ってから
うちの劇団のかなやすと山口の3人で食べましたとさ。
新年早々に独り占めは良くないと
また一つ利口になった私なのである。
遅ればせながら
皆様
あけましておめでとうございます。
この一年が皆様にとって嬉しく楽しい一年でありますように。
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山野海の渡世日記
4歳(1969年)から子役としてデビュー後、バイプレーヤーとして生き延びてきた山野海。70年代からの熱き舞台カルチャーを幼心にも全身で受けてきた軌跡と、現在とを綴る。