多様性を認めることができるか
堀川 ネットの世界だとどうなんですかね。かなり発言に気をつかわないといけないように思いますけど。
pha どうでしょうね。ネットはちょくちょく変な人に絡まれたりすることはありますね。変な人というか、とにかく不特定多数のいろんな人に見られるから全然意見が合わない人がやってくることもよくあるし、スルーする力がすごく要求されると思いますねえ。
堀川 批判を目にするだけで、ダメージ受けるみたいなこともあるじゃないですか。
pha ありますよね。
堀川 やっぱりありますか? そういうの。
pha いや、僕はあまりないんですよね。だからネット向きの性格だと思うんですけど、気にする人にとってはネットは辛いでしょうね。僕は批判されたりするたびに、世界にはいろんな考えの人がいて面白いな、この多様性が人間だ、世界だ、みたいな感じに思いますね。
堀川 すごいポジティブですね。
pha 僕はだいたい割合で考えるんですよね。9割に批判されたらさすがに落ち込みますけど、6、7割ぐらいが肯定的で、残りの3、4割に批判されたとしたら、まあ肯定のほうが多いわけだし、「世界はそういう割合でできているんだな」って納得する感じですね。でも、気にする人はやっぱり気にしちゃいますよね。批判してるのは一部の人だけど、それでもしんどいと言って、ブログを閉じたり、エゴサーチ(自分の名前を検索すること)をやめたりする人もいます。気にしすぎる人はあまりネットにディープにハマらないほうがいい人ですね。気にしない方がネットでは生きやすいし、そういう意味で僕はすごくネット向きでしたね。
堀川 ご著書を読むと、やっぱりネットがあったからこそ、いますごく生きやすくなってるとお話しされてますよね。でも、一方ではネットの弊害みたいなものもあって。その点では、生息場所としてすごく合ってたということでしょうね。
pha そうですねえ。ネットのストレスをあまり気にしないタイプだったので。
堀川 天性のストレス耐性があるphaさんから、普通の感性っていうか、結構気にしやすい人に対して、そういうスルー力みたいなのを身につけるコツを教えてほしいんですが。
pha コツはなんですかね。同じ人間と思わないみたいな。別の動物と思えば、理解されないで当たり前だって思えるじゃないですか。
堀川 今回のご著書にもそう書かれていましたね。おもしろいなと思いました。
pha 話が通じると思ってるから気になるわけで、犬や猫が言ってると思えば、それは話が合わなくて当たり前みたいな感じに思いますよね。それから、それだけいろんな意見があるのはおもしろいなと、その世界の多様性自体を楽しむことも大事かな。自分も100%正しくなくて相手も100%正しくなくて、自分も相手も両方いるから世界はバランスが取れている、みたいな。あとは議論とかは無意味だって思ってますね。批判されて反論してもあまり意味がないと思うんですよね。論破しても、相手はだいたい納得しません。そもそも持っている価値観とかが違うから仕方ない。だから、議論に意味はないし、何か言われたら「ああ、そういう人もいるんだな」って流せばいい。
堀川 でも、人間じゃない別の生物だと思えっていうのは、それだけ他者の価値観を尊重しているっていうのと同じことですよね。生理的に相容れないぐらいのレベルで、もう全然違う価値観の人たちがたくさんいて。それは多様性だから、ちゃんと認めるということが出発点で。ですから、上から目線な感じに聞こえたりもするんだけど、実はリスペクトしてるわけですよね。
pha それはそうですね。
堀川 否定も肯定もしないというか。
pha そうですね。リスペクトは大事ですよね。攻撃的な人とかを見ると「よくわからんけど、この人はこの人で大変なんだな、つらいんだな」って想像しますね。自分とは全然違う意見の人でも、それはそれでいろいろなことを背負っていろんなことを考えてきていて、そのことはみんなすごいなと思います。自分に対する批判については、原則「そんなん言われても知らんけど」って感じですが、「まあ、そういう意見もあるんだな」と認めるというか、リスペクトはあるかもしれないですね。やっぱり多様性が好きですし、人間は多様性があるからいいと思うので、みんなでそれを認めつつなんとなく共存していけたらいいなと思いますね。
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