『とかげ』『アムリタ』をはじめとした初期の名作から、『どんぐり姉妹』まで、 吉本ばななさんの小説7作品を、電子書籍化いたしました。すべての作品に描かれているのは、傷ついた心を癒すあたたかな希望の光。初めて手に取る方も、改めて読む方も、新たな発見と勇気をもらえる吉本ばななさんの世界をぜひ堪能して下さい。
とかげ
著:吉本ばなな 1993年4月
とかげは眠る前、鼻づらを私の胸に強く押し付ける癖がある。デリバリーのピザが好きで、人と話すのは苦手だ。三年の交際期間を経て私がプロポーズしたある夜、とかげは言った。「実は、私子供のころ目が見えなかったことがあるの」。そして明かされる、家族を襲った惨劇と呪い――。それぞれに傷を抱え、宿命的にひかれあった二人が見つけたのは、今は微かだけれど確かな希望。表題作「とかげ」始め、とまどいながら生きる人たちを優しく励ましてくれる6編の短編小説集。
アムリタ
著:吉本ばなな 1994年1月
甘い笑顔を持つ美しい妹が心を病み、死んだ。姉の私は頭を打ち28年間の記憶を失ってしまう。さらに弟が未来の一部を予知できるようになって……。“半分死んだ”ようになった私と“チャネリング小僧”になった弟は、高知やサイパンへの旅の中で、生命の輝きを取り戻していく。無力感にとらわれ、心が闇に近づく時、支えてくれる日常の確かな手触りと輝きを描ききった。人類を救う永遠の傑作。(上巻)
「せっかく生まれてきたんだから、いろんなことをしよう。おかしいことも、恐ろしい事も、ひとを殺すほどの憎しみも、いつか」。バイブレーターを母親として育ったさせ子との出会い、妹の恋人だった竜一郎との恋、鋭敏な感性に戸惑う弟への愛が、朔美の運命を彩っていく。孤独と変化を恐れない朔美の姿は、慈雨のように私たちの体と心に染み込み、癒してくれる。時にくだらなく思えてしまう日常の景色が180度変わる、普遍的な名作の誕生。(下巻)
吉本ばななさんコメント
今も長編を書くときはこの小説で学んだやり方を使っています。私の書き方の基本となった作品です
ハゴロモ
著:吉本ばなな 2003年1月
長い不倫の恋が終わったほたるは、彼と過ごした東京を離れてふるさとに戻ってきた。失恋の痛手を負いながら祖母の喫茶店を手伝うほたるは、出会った瞬間に懐かしいと感じる赤いダウンジャケットの男の人に出会う。確かに会ったはずなのに、なぜ思い出せないんだろうーー。
誰かを失った心の痛みをゆっくりと癒してくれる、あたたかな物語。
吉本ばななさんコメント
とても優しい気持ちで書いた作品。故河合隼雄先生がすごく好きになってくれた小説です
なんくるない
著:吉本ばなな 2004年11月
相手が離婚を言い出さなければ自分から言い出したはずだった。なのにこんなに悲しくて心にしこりが残ったままなのは何故なんだろうーー。堂々巡りの自分から抜け出すために決めた沖縄旅行。がじゅまるが運んできてくれた出会いによって、私は自分自身を許すこと、誰かを自然に好きになる尊さを知った。
表題作「なんくるない」始め、「ちんぬくじゅうしい」「足てびち」「リッスン」を収録。沖縄を愛するすべての人々へ捧げる小説集。
吉本ばななさんコメント
離婚してひとりになってしょげているときなんかにすごくしみる作品な気がします
みずうみ
著:吉本ばなな 2005年12月
ママを看取ったちひろは、ななめ向かいのアパートに住む中島くんと奇妙な同居生活を始めた。過去に受けた心の傷によって、体の触れ合いを極端に恐れる中島くん。中島くんに惹かれながらも、彼の抱える深い傷に戸惑いも感じているちひろ。恋と呼んでいいかわからない二人の関係が続く中、ある日中島くんから、一緒に昔の友達に会ってほしいと頼まれてーー。苦しみを背負った人々を癒す希望の物語。
吉本ばななさんコメント
なぜか男性受けのよい作品。中島くんのへなちょこさに癒されるからだろうか…
どんぐり姉妹
著:吉本ばなな 2010年11月
活動的な姉・どん子と、引きこもりの妹・ぐり子は、両親を失い、都会の片隅で助け合って生きている。二人は、「だれかにメールしたいけれど、知っている人にはしたくないというときにちょうどいい存在」というゆるい理念を掲げ、無料の相談サイト「どんぐり姉妹」を立ち上げた。そこで交わされる他愛のない会話は、情報の渦の中で疲れた人々の心を優しく包み込んでくれる。そんな中、ぐり子は初恋の人、麦君の夢を何度も見るようになりーー。混沌としたこの世界を生きるための示唆に富んだ小説。
吉本ばななさんコメント
この小説がなんだかわからないけど大好きなんです。私の父が最後に読んでくれた作品でもあります
その他吉本ばななさんの作品
吉本ばななさんコメント
少し自分と距離のある短編集なのですが、その分思い切り書くことができました