幻冬舎plusをご覧のみなさん、こんにちは。房野史典と申します。
こちらで「東大卒も唸った! 超現代語訳 戦国時代」という記事を書かせていただいている者です。みなさまのおかげで、これが書籍『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』となりましたことは置いといて(本当は置いときたくないので、また最後に話しますが)、ひとまず、さっそくドラマの話に入りましょう!
さて。
今回のドラマ「真田丸」のタイトルは「歳月」でした。
真田信繁(堺雅人さん)が、九度山(和歌山県)に配流(追放)されてから、10年以上が経過していました。その中で、真田家の生活の変化を表したタイトルだと思います(なんで追放? 誰にやられたの? という方は、前回の記事をどうぞ)。
信繁の兄・信之(大泉洋さん)は、信繁の罪が許され、上田(長野県)に帰れるよう、未だ徳川にかけあっています。
しかし、当の信繁は「兄上のお気持ちは嬉しいのですが、これだけ長くおりますと今の暮らしになんの不満もなくなってしまいました」と、兄の頑張りをやんわりキョヒります。
周りを強大な敵勢力に囲まれ、常に緊張状態の中で育った幼少時代。家を守るため、他の大名の元に人質として出された青年期。戦いが隣り合わせだったり、誰かの顔色を窺う日常と比べると、謹慎の身とはいえ、ある程度の自由が許された平和な暮らしは、信繁にとって魅力的だった可能性があります。あるいは、やる気や気力を失っていた、とも考えられますね。
そして、信之に仕送りを要求するシーンがありましたが、九度山の生活はかなり苦しいものだったようです。なんてったって、信繁は”無職”ですから。収入源は、監視役の浅野家から、今でいう生活保護を受けているのと、信之からの仕送りでした。
父・昌幸(草刈正雄さん)が生きていたときも、「借金40両を返済しないとダメだから、お金を送ってくれ」と、国許に頼んでいます。20両を工面して届けてもらった昌幸でしたが、それに対し、こんな手紙を送っています。
「残りの20両を早くください。なかったら5両でも10両でもいいからください 昌幸」
現代だと家族の間に争いが生まれそうな文面。よっぽどお金なかったんだと思います。
信繁も、故郷の家臣に、
「焼酎を送っていただけますか。こぼれないようにしっかりとフタをして、その上から、紙で覆ってください 信繁」
送ってもらうのに、なんかちょっと“上から”。一滴もムダにしたくなかったんだと思いますが。
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超現代語訳 戦国時代 笑って泣いてドラマチックに学ぶ
歴史大好き芸人・ブロードキャスト!!の房野史典さんが、戦国時代を、”超現代語訳”したら、こんなにおもしろい物語になった!
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