お笑い芸人ブロードキャスト!! の房野史典さんは、歴史大好き芸人としても活躍中。
そんな房野さんが、『超現代語訳 戦国時代』という本を出して、評判になりました。
歴史のエライ先生が褒めてくださったり、ピースの又吉直樹さんが帯に推薦文をくださったり……
本書がこのたび文庫化され、お手軽価格&コンパクトサイズで、お求めやすくなりました。
何より!! 文庫化にあたり、あの河合敦先生が、巻末に文庫解説をくださったのです。
河合先生といえば、最近、幻冬舎新書から『晩節の研究 偉人・賢人の「その後」』という新刊を出しています。
単行本発売当時のふたりの対談が、とっても面白いので、全3回、リバイバル掲載いたします!
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周囲の勧めでフェイスブックに【もうなんか昼ドラみたい】というタイトルで「応仁の乱」について書く
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突然注目される
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幻冬舎plusで「東大生も唸った! 超現代語訳・戦国時代」連載スタート
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ネットでバズる
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書籍『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』発売
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売れ行き好調
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イベント「なぜ売れない芸人の僕が、200万PVの人気連載を持ち、処女作『超現代語訳 戦国時代』がamazonランキング1位になったのか」を開催
……という流れでここまできた、ブロードキャスト!!の房野史典さん。ついに憧れの歴史作家である河合敦先生との対談が実現、念願の「世界一受けたかった授業」を受けられることに!
さて、どんな“ビックリ歴史エピソード”が飛び出すか?
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先生には絶対に書けない!?『超現代語訳 戦国時代』
房野 河合先生、今日はお越しいただきありがとうございます!
河合 いえいえ、こちらこそよろしくお願いします。本、読ませていただきました(とカバンから『超現代語訳 戦国時代』を取り出す河合先生。そこにはたくさんの付箋が!)。
房野 恐縮すぎる! ど……どうでしたか?
河合 これはね、ビックリしましたね。会話とギャグと、ちゃんとオチまでついてるっていう。ひとつひとつが漫才になっていながら、基本的には史実に則って、そこから離れてないのはスゴイ面白いなって思いましたね。あとは表現で、ゲームのなんか……あれって強さですか?
房野 HP(ヒットポイント)ですね。はい、「ドラクエ」です!
河合 そういうのは僕には絶対書けないですね。もし僕がこういうふうに書いたら、周囲からめった打ちにされますよ(笑)。やっぱりこれは芸人さんで、しかも歴史の知識が深い人だからこそ書けるテーマであって、若い人にもわかりやすくて、いいなと思いましたね。
房野 いやいやいや~、めっちゃ嬉しい! 先生の言葉で、飯何杯でも食えそうです!(笑)
河合 そうそう、タイトルや見出しって、誰が考えたんですか? すっごい笑っちゃうタイトルがあって。
房野 マジですか! 全部僕です!
河合 「けんかをやめて。3人をとめて。わかった、私も加わる」とか「あの鐘を鳴らしたあなたに捧げるレクイエム」とか笑っちゃいましたね。さらに面白いことに、ちゃんとその見出しの解説もあるんですよね。
房野 最初フェイスブックで書いていたときに、ここだけは「誰もわかってくれなくていいや!」くらいの気持ちで、遊びで書いてたんです。でもいざ連載や出版になったら、編集者さんから「ホントにわからないのはやめてもらえますか?」って叱られて(笑)。
河合 でもね、本ってタイトルなんですよ。僕は昔『最新の日本史』っていうタイトルの本を書いたんですけど全然売れなくて、それを『世界一受けたい日本史の授業』に変えたらすごい売れたんですよ。“ですます調”に書き直しただけで、まったく中身は変わらないのに。そのときに「人ってタイトルで買うんだな」と思ったんです。そんなこともあって、タイトルや見出しにはすごい惹きつけられましたよ。
それにしても、房野さんは本当に戦国時代がお好きなんですね!
房野 はい……やっぱバレるんですね、好きだっていうの……(笑)。
河合 戦国好きが好きそうなところをしっかり押さえてるんですよ。島左近や大谷吉継、細川ガラシャとか。こういうのはね、戦国好きの人が引っかかってくるところですよ。
房野 ありがとうございます! ところで先生、付箋をたくさんつけていただいてますけど、どの辺がツボでした?
河合 ひと言ひと言がホント面白かったです。例えば、「はい、秀吉死にます」の一言で場面転換するとかね。これスゴイですよ! その後の展開を換算して、切るところはスパッといってる。ほかには、直江状を読んだ家康が「殺す!」って言うところとか。そういうセリフやギャグも、普通の歴史本に出てこないものなので面白かったですね。
房野 わー、嬉しすぎる!
河合 そうそう、鳥居元忠が家康とここまで関係が深かったってことは、僕も知らなかったことでした。
房野 元忠が捨て駒になって石田の軍勢を食い止めた「伏見城の戦い」でのことですね! そこで死んだ武将たちの血痕が残った床板を、家康が供養のために、京都のいろんな寺院に持って行って、天井に張り替えたんですよね。
河合 血天井のあるところへ女の子とデートで行ってその話をすると「キャー」ってくっついてきてくれるんですよ。だから血天井でのデートは外せないですね!(笑)
房野 なんのエピソードですか!(笑)
河合 (笑)それから、章が新しくなるたびに前回の復習が冒頭でまとめられているのもわかりやすいですね。そして真田の「千鳥掛け」の絵(図)も良かったです。これはケータイで描いたんですか? これこれ↓。
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〇→
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房野 はい、どちらもフェイスブックの時点で入れてたものです。
河合 ネット時代の表現、って感じですねぇ。
やっぱり長生きした人の勝ち!
河合 この本では、結構登場人物をバカにしたり、けなしたりしてましたね。家康を「ポンコツたぬき」って言ったり(笑)。
房野 僕は内容をポップにしたいと思って書いているので、「落としどころをどこかにつけたい」というのが必ず生まれるんです。だから誰かにスポットを当てたら、その人を際立たせるために会話とかでふざけたり、脇の奴のキャラを立たせたりしました。この本は、まず歴史に興味持ってもらうための素材だと思っているので、ちゃんと史実に則っていれば、遊んでもいいかな~と。
河合 そうですか、ちゃんと考えてるんだなぁ。このキャラをうまく使えば、小説とかドラマになりそうな気がしますね。僕もね、今度小説を書こうと思ってるんですよ。
房野 そうなんですか! 誰について書くんですか?
河合 時代は幕末で、鳥居三十郎っていう人を取り上げたいんです。ほとんど誰も知らない、村上藩の人なんですけど、すごい死に方をしているんです。房野さんだったら、この本の中の誰をドラマにします?
※鳥居三十郎和祚(とりいさんじゅうろうまさよし 1841~1869年)越後村上藩家老。戊辰戦争に奥羽越列藩同盟として参加。戦犯となり、政府より死罪(斬首)を言い渡されるが、藩の責任を一身に背負い、切腹。享年29。
房野 そうですねぇ、実は、家康はムチャクチャ好きなんですよ。この本ではふざけて書いてるし、ポンコツ狸よばわりしてますけど、年重ねたら好きになりました。若い時はひとつもピンと来なかったんですけどね。
河合 家康はねぇ、すごいですよね。やっぱり長生きした人の勝ちですね!
房野 シンプルに当たり前のことなのかもしれないけど、マジでそうですよね!
河合 秀吉が62歳で死なないで75歳まで生きてたら、歴史が変わった可能性がありますよね。もしかしたら家康がその間に死んでしまったかもしれない。
房野 いつの時代も健康管理、大事ですね~。
河合 大事ですよ! そうそう、家康もね、最期まで、鷹狩りしたり馬に乗ったりしてたんです。自分で薬作ったりもね。
房野 たしか、最後は「腹に虫がいる」とかいって、自分で作った薬を飲んでたんですよね。家康って、ガンだったんですか?
河合 胃ガンだったじゃないか、というのが有力な説ですね。虫下しの薬を自分で作って飲んで、結局寿命を縮めたんだけど、まあ75歳まで生きてますから、この時代では長生きですよ。
人は「過去」からしか学べない
房野 僕は歴史の面白さを伝えたいんですけど、もし「歴史なんか覚えるの面倒臭い、別に勉強しなくったっていいじゃん」って言われたら、先生はどう答えます?
河合 歴史は自分の将来に役に立つんだよ、って話しますね。過去と同じことは絶対に起こらないけど、同じようなことは何度も起こるから、それを学ぶことができる。また偉人がどう決断したか、どう行動したかっていうのも、自分の将来や人生の役に立つんです。房野さんはどうです?
房野 僕はもうバリバリ役立ってますね! 活かせてるのかどうかは別ですけど!(笑) でも歴史上の人物って何百年も前の人だから、現代人とはまったく別人種っていうようなイメージがあると思うんですけど、何か為そうとしたとき、物や事を動かすための「温度」ってのは、今と変わらないな、って思うんです。もちろん、生死を賭けてるので今とは違うところもあるわけですけど、仲間との連携だったり、人との繋がりだったりとかっていうことは学ぶことが多いですよね。
河合 おっしゃる通りですね。特に若い人たちに向けて、歴史の魅力や、人生に役立つんだというメッセージを伝えていきたいですね。
房野 僕もそうですね! 別に歴史を好きにならなくてもいいから、とりあえず先人の知恵を踏まえとくだけでなんか違うと思いますね。
河合 人は「過去」からしか学べないんですよ。
房野 わ、出た! 名言! みんなメモしてください!
(取材・構成 成田全)
【房野のつぶやき】
河合先生にお会いするのは二度目だったのですが、ちゃんとお話しさせていただくのはこれが初めてでした。とても柔和な方で、歴史の”面白さ”を”面白く”伝えてくださる、本当に素敵な先生です。
僕の本に大量の付箋を貼って、「あそこが面白かった!」「この表現は驚きました」とおっしゃってくれる度に感動してしまい、対談中ヘラヘラしていたと思います。気持ち悪かったかも…。
『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』をお手に取っていただき、河合先生が言われていた表現や文章を、是非ご確認ください!
『超現代語訳 戦国時代』の文庫&河合先生の幻冬舎新書新刊はこちら。
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超現代語訳 戦国時代 笑って泣いてドラマチックに学ぶ
歴史大好き芸人・ブロードキャスト!!の房野史典さんが、戦国時代を、”超現代語訳”したら、こんなにおもしろい物語になった!
東大卒の某人物も「こんなに頭にすんなり入ったことがない」と大絶賛したという、驚愕のわかりやすさ&面白さ。
NHK大河ドラマ「真田丸」でも大人気の「真田三代」のほか、歴史好きにはたまらない人選と人物描写で、読ませます。
戦国時代ほど、人間ドラマの宝庫はない!連載開始直後から、大人気。教科書で見かける有名な武将たちも、思わず可愛く思えてくる。笑いあり、涙ありの、戦国ドラマを、ぜひ。
→→連載人気が沸騰に沸騰して、ついに書籍化!『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』は絶賛発売中です。
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