女優・鶴田真由さんの新刊『神社めぐりをしていたらエルサレムに立っていた』が、なにやら不思議だぞ! 面白いぞ! と話題となっています。
本書は、日本の国生み物語である「古事記」を紐解きながら“神様を辿る旅”をしていたら、なぜかエルサレムに導かれ、ついに行くことに!ーーという、ちょっと変わった旅のエッセイです。
「古事記」といえば、日本の神様の物語。なぜ、“神々の物語”が、大陸のはるか東とはるか西で繋がるのでしょう? 「古事記」と「聖書」が繋がるって、不思議じゃないですか?
鶴田さんは、いろんな専門家の導きにより、そこに隠されている「神々の暗号」を解く旅を続けるのです!
「何だ!それ!?」「びっくりした!」「聞いたことない!」がいっぱいの面白エッセイ。一度読んだらやめられませんよ。ちょこっと、抜き出し&試し読み、はじめます。
ーー突然、「イスラエルに行かない?」と誘われた鶴田さん。
さっそく、「旧約聖書」について、調べ始めました。
***↓↓ためしよみをどうぞ!↓↓***
類は友を呼び、友は先生を呼ぶ
自分の中で少しずつユダヤブームが盛り上がってきた頃、友人宅でパーティーがありました。
その友人一族は徳島の出で、「古事記」の中にある「天岩戸(あまのいわと)開き」のお話の中で、祭祀を司ったフトダマノミコトという神様を祖に持ちます。
古代、朝廷には祭祀を司っていた忌部(いんべ)という一族がいました。この一族の祖神がフトダマノミコトです。先祖を遡(さかのぼ)っていくと神様になる? まぁ、そこはやんわりと保留にしておきましょう。古代の神様のお話は、史実の一面を持つことが多いのです。忌部一族の中でも、特に麻との関わりを強く持っていた阿波忌部氏は、次の天皇に代替わりする時のお祀(まつ)り「天皇即位の礼」の後に行われる「大嘗祭(だいじようさい)」で使用する麻布を古くから献上してきました(「大嘗祭」は「天皇即位の礼」の後に初めて行う新嘗祭(にいなめさい)[宮中祭祀]のことを言います)。そして、麻や和紙、藍染(あいぞ)めなどの物づくりを阿波(=徳島)で産業にしてきたのです。
パーティーを催してくれた友人は、その阿波忌部氏の流れを汲んでいる藍染め職人です。
実は忌部氏もユダヤの流れを汲んでいるのではないかと言われているのです。そんなこともあって、最近のユダヤブームの話をしていたところ、アメリカのepa 通信社に勤めていた友人が「私も最近、日本とユダヤとの関係に注目をしています」と話に加わってきました。そして「最近、ユダヤと日本のことを本に書いている久保有政(くぼありまさ)さんという作家と友達になったので、みんなで食事をしましょう!」という流れになりました。
なんとも不思議なご縁! こうして、専門家からお話を聞くという贅沢(ぜいたく)な機会を得ることが、あっという間に決まったのです。
壮大な物語を繫ぐ夜
数日後、我が家に久保有政さんをお招きして食事会を催しました。久保さんは長身で落ち着いた雰囲気をお持ちのダンディーな方。壮大な民族大移動の物語に目をキラキラさせている私たちに、ユダヤと日本の関係についてお話しして下さいました。これが大変面白いのです。
日本人のY染色体を見ると、約40%がD系統と呼ばれるものだそうです。世界中のユダヤ人グループに広く見られるのがE系統なのですが、D系統はE系統と同じ仲間であり、これを見るだけでも同一の先祖からきたと考えられるとお話しして下さいました。さらにこのD系統というのは、沖縄の人で56%、アイヌ民族で88 %と、さらに高くなっているそうです。
ということは、縄文系の人々に多かったということでしょうか。
このD系統を持つ民族は世界の中でも非常に珍しく、日本人とチベット人が高率で持っているというのです。詳しくは先生の著書『日本とユダヤ 運命の遺伝子』(学研パブリッシング)に書かれているので読んでみて下さい。
このような研究が少しずつ進んできている―ーなんてことをお聞きすると、民族大移動についての私の妄想が現実味を帯びてくるようで、ワクワクします。
そしてさらに、「聖書」には「10支族は主として東方へ向かう」という記述があるのだそうです。10支族の調査機関(アミシャーブ)の代表のラビ・エリヤフ・アビハイルさんは、それを基盤に世界各地を調査してきました。詳しくはラビ・エリヤフ・アビハイルさんの著書『失われたイスラエル10支族』(学習研究社)に書かれているのですが、私が気になったところをかいつまんで説明しましょう。
古代イスラエルの痕跡は、とりわけアフガニスタン、パキスタン、またチベット周辺に住む民族によって発見されました。紀元前334年になると、マケドニアのアレクサンドロス大王が東方遠征を行って、ペルシャ、アフガニスタンを征服し、さらにインドまで達しました。捕囚地(ほしゅうち)にいた「イスラエル10支族」の人々に東方への道が開けたのはその時です。
東方への移動の道は主に二つありました。「南方ルート」と「北方ルート」です。南方ルートがアフガニスタンやインド、チベットを通って中国へと続く道です。そして北方ルートは、中近東の黒海付近からカザフスタンを通って中国へと向かう道。そして中国の開封という地などに達すると、そのまた東の国、日本へと流れてきたのです。
久保さんは「日本にもユダヤとの縁を感じる場所が沢山ある」とお話しになりました。諏訪(すわ)大社や伊勢神宮、元伊勢(もといせ)、出雲大社、沖縄などなど。歴史は掘れば掘るほど色々な姿を現してくるものなのですね。でも、秘密にされていたことも多く、古代にはわからないことが多すぎるのです。だからこそ魅惑的で、興味が湧いてくるのかもしれません。
けれども、どうせわからないのなら、その場に佇(たたず)み、妄想を膨らませ、遥(はる)か彼方のイスラエルへと思いを馳せ、しばし楽しんでみるのもいいのではないか? そう思ったのです。
ユダヤの予言
一体何故、私は「古事記」に始まり、ユダヤ教などにまつわる超古代史にまで興味を持つようになったのか。自分でも不思議でなりません。説明がつかないというのが実際のところです。元来、旅が好きなので、時空を超えた壮大な旅に、ぐんぐんと心を奪われていったのかもしれません。しかも、そこに秘密が見え隠れするので、ワクワクするのかもしれません。いやいや、もしかしたら、失われた10支族は、自分の遠い祖先なのかもしれません。みなさんだって、その子孫の可能性があるのです。
久保さんの本の中に、面白い記述を見つけました。ラビ・エリヤフ・アビハイルさんから久保さんに宛てたお手紙について書かれているところです。
「やがて終末の時代に『ユダの家(ユダヤ人)とイスラエルの家(10支族)』は合体し、ひとつとなるとの予言が『聖書』にある(「エゼキエル書」)。日本人が自らのアイデンティティーに気づき、ルーツに立ち返りイスラエルの地に戻ってくるとき、この予言が成就しはじめるとラビは書いている。」
そして「失われた10支族が見出され、イスラエルの地に帰りはじめるとき、『世界の購(あがな)い=救い』が始まるという。」(前出『日本とユダヤ 運命の遺伝子』)
この記述は、私のイスラエルへと向かう旅にはもってこいの物語でした。
旅には物語があった方が断然面白い。だったら、「世界の購い(救い)」が始まるために旅をしようではないか!
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こうして、神様の「暗号」を辿る旅が始まったのです。次回もお楽しみに!
神社めぐりをしていたらエルサレムに立っていた
女優・鶴田真由さんの新刊『神社めぐりをしていたらエルサレムに立っていた』が、なにやら不思議だぞ! 面白いぞ! と話題となっています。
本書は、日本の国生み物語である「古事記」を紐解きながら“神様を辿る旅”をしていたら、なぜかエルサレムに導かれ、ついに行くことになった!ーーという、ちょっと変わった旅のエッセイです。