「黒田左少将どのの猿楽の催しに貴公をお連れしたいのだが」。公儀目付役・稲生正英の言葉に多田文治郎は耳を疑った。家出娘の相談で稲生邸を訪れたのだが、その話が終わるや否や乞われたのは、大大名の催す祝儀能へ同道。幽玄の舞台に胸躍らせる文治郎だったが、晴れの舞台で彼が見たものとはいったい……? 瞠目の時代ミステリ、第二弾!
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