
発表会の感想を伝えるのはムズイです。
友だちが出演するというので初めて劇場に出向き、初めてバレエというものを目にした人なら、無邪気に感想を伝えられるかもしれません。
プロの公演をよく観にいくけれど、大人バレエとは全く接点がないという人も、率直な感想をスパッと言えるでしょう。
しかし、自分も大人バレリーナであり、ここ数年は練習不足のために発表会には出ていないものの、かつては「出演しないという選択肢などなーい!」と豪語していた私の場合、感想を伝えるという行為のハードルはぐんと、ぐぐぐーんと上がります。
なぜなら、どんなに屈託のない感想も、その裏を海よりも深く読みとろうとする大人バレリーナたちの習性を知っているから。たとえ裏などなかったとしても、です。
しかも、普段一緒にレッスンを受けているので、演目の仕上がり具合も知っています。
そして、私がそれを知っていることを、出演する大人バレリーナたちも知っています。
なので、白々しいおべっかは通用しません。
かといって、スタジオで顔を合わせるだけのお付き合いの人にあれこれズバズバ言えるはずもなく…(親しい友人には言います)
考えあぐねた末に「よかったよ!」とか「きれいだったね!」とか、述語だけの感想をとびきり明るい表情で早口で投げかけ、そそくさと楽屋を後にします。この一言も裏を読まれるのだろうと確信しながら。
大人バレリーナはバレエは拙くとも中身は立派な大人です。
なので、自分のことをよくわかっています。
ゆえに自嘲気味になりやすく、本気の褒め言葉ですら裏を読みがちです。
でも、これ、誰もしあわせにならなくなくなくなくないですか?(どっち?)
なので、提案!
褒め言葉は真に受けよう!
褒められることの少ないお年頃です。
裏を読まず、折角の褒め言葉はありがたくそのまま頂戴しましょう。
時間と労力をかけて観に来てくれたことに感謝して。
その上、感想をなんとか言葉にしてくれた苦労を慮って。
まっすぐに、キラキラとした瞳でこう言うのはどうでしょう?
「ありがとう! うれしい!」
裏を読むのをやめて、出る人も観る人もみんなでしあわせになりましょう!
というわけで、次回の発表会も観に行かせてもらうので、皆さんよろしくですよ?
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大人バレエの世界

いくつになっても憧れる華やかなバレエの世界。アラフォーからバレエを始めた著者による、楽しく、たくましく、哀しくもおかしい“大人バレリーナ”の日常。
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