1. Home
  2. 生き方
  3. 言っておきたい!!2016 #時代の動かし方
  4. 貧困問題をオワコン化するな!

言っておきたい!!2016 #時代の動かし方

2015.12.31 公開 ポスト

『最貧困女子』著者が断固として訴える

貧困問題をオワコン化するな!鈴木大介(文筆家)

◆コメント取材も企画協力も断り続けた理由

 ルポライターとして、2000年代中盤から、子どもや女性の貧困問題、そして犯罪加害者など、社会の裏側にドロップアウトしてしまった人々の見えづらい貧困などをテーマに著作を出し続けるも、「もともと貧困問題に興味のある読者の資料本」にしかならず、増刷もかからず。僕の仕事は全然社会に届いていないという自戒を込めて、「貧困は自己責任などではない」のワンテーマに絞り込んで、より分かりやすく単純に、よりロジカルに書いたのが、2014年秋発行の拙著『最貧困女子』だった。

 その狙いが当たったのか、世相が貧困問題を無視できないターンに入ってしまったのかは分からないが、この出版不況の中で、拙著は増刷を重ねて8万人の人々に読んでもらうことができた。こうなると放っておかないのがマスメディア。毎週のようにコメント取材や企画協力の依頼が舞い込むことになるのだが、日に日に僕の中では違和感と苛立ちが膨らみ続けるのだった。

 なぜか? 取材対象者たちへの不利益になりかねないという理由で、もともと顔出しでのテレビ出演者や取材には応じない主義だし、「鈴木さんが取材した取材対象者を紹介してほしい」といった依頼にも、長期間の取材で信頼関係を結んだ取材対象者たちを「見世物」として消費されたくないという理由から断固お断りし続けてきたため、ほとんどの協力依頼を蹴飛ばしてきてはいる。だが、断る理由はそれだけでなく、依頼される企画の方針の多くに、どうにも納得いきかねるものがあったのだ。

ここから先は会員限定のコンテンツです

無料!
今すぐ会員登録して続きを読む
会員の方はログインして続きをお楽しみください ログイン

関連書籍

会田誠/飯田泰之/生島淳/大栗博司/沖田×華/小野美由紀/開沼博/片田珠美/國分功一郎/コグマ部長/コラアゲンはいごうまん/今野晴貴/坂口孝則/佐藤慶一/清水ミチコ/辛酸なめ子/鈴木涼美/鈴木大介/武田砂鉄/中川右介/中田考/中村淳彦/橋本治/速水健朗/久田将義/藤沢数希/北条かや/Mami『時代の動かし方 日本を読みなおす28の論点』

{ この記事をシェアする }

言っておきたい!!2016 #時代の動かし方

バックナンバー

鈴木大介 文筆家

文筆家。子どもや女性、若者の貧困問題をテーマにした取材活動をし、『最貧困女子』(幻冬舎新書)、『ギャングース』(講談社、漫画原作・映画化)、『老人喰い』(ちくま新書、TBS系列にてドラマ化)などを代表作とするルポライターだったが、2015年に脳梗塞を発症。高次脳機能障害の当事者となりつつも執筆活動を継続し、『脳が壊れた』(新潮新書)、『されど愛しきお妻様』(講談社、漫画化)など著書多数。当事者としての代表作は、援助職全般向けの指南書『「脳コワさん」支援ガイド』(医学書院・シリーズケアをひらく・日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞)。近著に『ネット右翼になった父』(講談社現代新書、キノベス! 2024ランクイン、中央公論新社新書大賞2024第5位)、『貧困と脳』(幻冬舎新書)など。

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP