名ばかり共和党員の存在を考えると、現状維持は危険
10月中旬過ぎからの共和党の猛追によって、共和党の上院過半数維持の可能性は強まっている。しかし、共和党にとっての上院の真の勝利は共和党議員51対民主党議員49(無所属含)の現状を維持することではない。
なぜなら、共和党上院議員には議会での肝心な法案の投票時に裏切る「名ばかり共和党員(Republican In Name Only)」と呼ばれる議員が存在している。これらの議員はその投票行動が民主党に近いリベラルな傾向があり、共和党保守派とは事あるごとに対立してきている。
その名ばかり共和党員の代表格がスーザン・コリンズ(メイン州)とリサ・マーカウスキー(アラスカ州)の2名である。同2名は、オバマケア見直し、減税法案、最高裁判事承認などの重要局面で常にブレーキ役を果たし、共和党指導部による議会運営の阻害要因となってきた。51対49という上院議席の状況では共和党議員から2名裏切り者が出るだけでどんな法案でも潰すことができるからだ。
したがって、共和党指導部が名ばかり共和党員の上院でリベラルな政治的主張に配慮することなく、高い自由度を持って法案を通過させるためには、最低でも52議席、万全を期す場合は53~54議席の議席が必要なのである。そこで、今回は共和党が上院で52議席を確保する際に重要な選挙区のうち2つを取り上げていきたい。
注目は劣勢のネバダと、民主党から議席を奪えそうなノースダコタ
1つ目はネバダ州上院議員選挙である。同州の共和党現職のディーン・ヘラーは共和党現職上院議員の中で最弱の候補者である。
人種の多様化が進むネバダ州では共和党は劣勢に立たされており、2012年はオバマ、2016年はヒラリーが大統領選挙で勝利した州となっている。民主党の候補者であるジャッキー・ローゼンは、ユダヤ系・女性・たたき上げの下院議員であり、労働組合などの民主党支持基盤からの支持も盤石だ。そして、民主党が強く投票者の約75%が集中するクラーク群(ラスベガス)での勝利は上院議員選挙での勝利に直結する。
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アメリカ中間選挙レポート
11月6日の米国議会選。トランプ大統領の共和党は勝てるのか? 著者独自の情報源と現地報道をもとに、刻一刻と変わる中間選挙の行方を共和党視点で分析。アメリカは変わるのか変わらないのか。この結果が日本にもたらすものとは?
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