よろずよ
「よ」とは、区切られた時をいいますから、人の一生も「よ」です。天皇の一生は「みよ」(御代)です。つまり、「代」というものが、次々につながれて、歴史は続いてゆくものなのです。
ということは「よろずよ」とは、「よ」がたくさんあるということです。そのため、永遠にという意味を表します。
しかし、「よろずよ」という場合に注意しなくてはならないことがあります。長い時間、永遠といっても、それは「よ」を積み重ねる長い時代なのです。天皇の御代であるなら、天皇の家が続いてゆくことです。お寺なら、お寺が続いて、歴代の住職がいることになります。現社長時代、前社長時代、前々社長時代と社長も代替わりしています。会社の社長が、父親から息子さんに代替わりした時なら、私は次のようにあいさつします。
「伝統あるこの会社の五代目の社長に、前社長のご子息がご就任されたことは、まことに喜ばしいことであります。この会社が“よろずよ”に続くことを願ってやみません。」
「令和」の心がわかる万葉集のことば
万葉集の巻五から採られた新元号の「令和」。そこに込められた万葉ことばの心、おだやかな日を寿(ことほ)ぐ1300年前の先祖たちの思い……。8世紀のことばの文化財・万葉集に使われている「万葉ことば」(古き日本語)を学び、心を磨く日本語練習帳。
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