2011年の9月頃にはいったん支援活動を休止することにした。多くの被災者が仮設住宅に入居し、支援する側の自己満足的な活動はもう必要ないと考えたからだ。とはいえ、被災地を離れるという選択肢はとらなかった。
被災地に初期から関わった人の中には、支援とは別に、何か新しいことをやりたいという欲求を持っていた人が少なくなかった。
僕もそうだった。支援活動には、これまでに経験したことのない充実感があり、もっと何かに関わりたいという気持ちも大きかった。東京を離れ田舎に移住しようとしていた矢先の震災だったので、時間の都合もつく。何より今の自分を変えたいという欲求と好奇心を抑えることはできなかった。
そう、白状しよう。僕は被災地の支援を隠れ蓑に、自分探しをしていたのだ。
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移住サバイバル
東日本大震災を機に宮城県石巻市に移住した山本圭一さん。家なし、知り合いなし、文字通りゼロから始まったサバイバル生活の記録。