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幻冬舎ねこ文庫?発売記念特集

2021.02.17 公開 ポスト

『猫は、うれしかったことしか覚えていない』より

猫は、素直に受け入れる 幻冬舎文庫

猫好きのみなさまお待ちかね! 石黒由紀子さんの『猫は、うれしかったことしか覚えていない』と、山田かおりさんの『猫には嫌なところがまったくない』が、文庫になりました!(やったー! にゃーにゃー!)発売を記念して、勝手に「幻冬舎ねこ文庫」特集をお送りしています。今回は『猫は、うれしかったことしか覚えていない』の試し読みをお届けします。

猫は、素直に受け入れる

黒猫エマとキジトラのロビンは、友人の奈緒さんちの猫。エマは体格がよく、ロビ ンより3ヶ月ほどお姉さんですが、オスのロビンのほうが俊敏でしっかりもの。奈緒 さんがふと見ると、さっきロビンが座っていた場所にエマがいたり、棚から飛び降り るロビンを見て、エマが高いところから降りられるようになったり……。「エマはなにかとロビンの真似をするんです」と言う奈緒さんに、「じゃぁ、ロビン がエマを仕切っている感じ?」と私。しかし「2匹には上下関係がまったくないんで す。ときどきは一緒に遊んでいますが、基本、個人(個猫? )主義というか。認めあ いつつ、干渉はしない感じ」。

なかなか会えないけれど、こんなふうによく近況を聞かせてもらう猫は、せな、ム ギ、マシューにタビ。SNSなどでいつも見ているのは、みつまめ、ぜんざい、サバ 美、牛にミッツ、モイ……。ぐるり見渡すと、どの猫もそれぞれにしあわせそう。

日々の大半を寝て過ごし、気が向いたら家の中をパトロール。雑事に追われる飼い 主を斜め上から眺め、ごはんを心待ちにして食べて。そして、おなかがいっぱいにな ったら、満足そうな表情を浮かべ、毛づくろいなどをして、また寝る……。

コウハイも、そんな暮らしぶりだからしあわせそうでよかった。愛猫のしあわせは 飼い主のしあわせでもある。

でも、猫は「あぁ、しあわせ~」なんて、いちいち思っていない。「おいしい」「う れしい」「気持ちがいい」「飼い主が帰ってきたぞ」「今日はごはんが遅いな」「さむ い」「いたい」そんなふうに感じるだけ。「だから、しあわせ」とか「だから、しあわせじゃない」というのは、人間が勝手に 作ったものさし。「猫がしあわせそう」なのは、人間の色メガネ。

猫は、ただ目の前の人や環境や、出来事をすとんと自分の中に受け入れているだけ。

関連書籍

石黒由紀子『猫は、うれしかったことしか覚えていない』

梅干しの種を飲み込んで、開腹手術を受けた猫のコウハイ。苦しかっただろうに、獣医師によると、「また、誤飲しますよ」。猫には楽しい記憶だけが残るので、種を転がしておもしろかったな、とは覚えているけど、苦しかったことは忘れてしまうそう。うれしかったことだけ積み上げて生きていく。そんな猫たちの、可愛くて笑えて、沁みるはなし。

山田かおり『猫には嫌なところがまったくない』

黒猫CPと、クリームパンみたいな手を持つのりやすは、仲良くないのにいつも一緒。傍から見たら下らないけど、とびきり幸福な毎日を過ごしていたある日、突然「私」は黒い親友と白くて丸い手を失った。猫が残していったのは、後悔の念と未開封のキャットフード。それでも日々は続いていくけれど――。これは、猫と暮らす全ての人に贈る、ふわふわの記録。

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