人気占い師、真木あかりさんの新刊 『2022年上半期 12星座別あなたの運勢』より、
全体運
まなざしの先に、未来。
2022年上半期、おうし座の人は、いくつかの夢や目標を明確に見出します。それはおそらく、ひとりでは叶えられない大きなもの。といっても、ある日突然、稲妻のようにひらめくタイプの思いつきではないでしょう。2021年に全力投球したことを活かし、その結果としてひらめくものであるはずです。
2021年は誰にとっても、タロットカードの「戦車」というカードを思わせる星回りでした。もっともポピュラーなウエイト・スミス版タロットでご説明しますと、2頭立ての馬車をご想像いただければと思います。若者が乗る二輪車を白と黒、2頭のスフィンクスが引いている……という画面構成です。ただ、よく見ると2頭に手綱はつけられておらず、若者は強い意思により彼らを支配して前進する、というエネルギッシュな意味合いが表現されています。
黒いスフィンクスは陰、白いほうは陽。夜と昼、善と悪といった概念と同じく、ふたつの対立するものを表します。そして、それを統御するのは自分であるという構図なのですね。
おうし座の人々にとって、2021年の「ふたつの対立する概念と、それを統御する自分」という星回りは、主に仕事に影響を及ぼしていました。理想と現実、拡大と抑制。冒険と安定、といった人も多かったかもしれません。「幸運と拡大の星」と呼ばれる木星と、「制限と試練の星」と呼ばれる土星が、同時に仕事を刺激していたためです。今は仕事から離れている人であっても、子育てや地域貢献など、何らかのオフィシャルな活動に取り組んで来られたことでしょう。これまでも誠心誠意、仕事に取り組んできたおうし座のみなさんも、「2021年はひときわハードだな」と思う瞬間が、かなり多かったことと思います。頑張っていらっしゃいましたね。
2022年のおうし座が抱く夢や目標を「2021年に全力投球したことを活かし、その結果としてひらめくもの」としたのは、そういったひたむきな努力の日々があってこそ見える“次”であるからです。とことん頑張ったことの延長線上にある「目標」。2021年に「もっと」という気持ちがやむことのなかった「夢」。それらは、冒険と安定のどちらも諦めなかったからこそ結晶となって生み出され、理想と現実にゴリゴリと削られ磨かれた宝石のようなものだろうと思います。人によっては、初めて見るきらめきではないのでしょう。2021年5月半ばから7月にかけて構想していたものが、年明けから早速動き始めるという人もいそうです。この頃に、SNSで書いたことや手帳にメモしたこと、考えたことなどを振り返ってみると発見があるかもしれません。
2022年上半期の面白いところは、こうした夢や目標を叶えようとしたとき、必ず人がついてくるという点です。「一緒にやっていい?」と声をかけてくれる人もいれば、つながることでもっとあなたの夢を拡大してくれる人もいるでしょう。なかには「自分がやったほうが早いし、安心だ」と思えることもあるかもしれませんが、敢えて仲間を作ってみると面白いはず。他人は、あなたの安定した継続力を乱します。「無理のない計画でいこう」と考えるあなたに、あとワンランク高い“本当に目指したいこと”へのチャレンジに目を向けさせる力を持っています。そうすることで、当初は想定もしていなかった可能性が引き出されることもあるのでしょう。あなたはものや価値を生み出すことが得意な人ですから、人間関係についてもきっと、自分だけの輝きを生み出していけるのだろうと思います。
こうした動きは、年明けから5月上旬まで続きます。
小さな声に耳を澄ませて、闇を怖がらないで。
5月中旬頃から、おうし座の人を取り巻く雰囲気がすうっと静かになっていきます。2018年の終わり頃からずっと、アウェーな世界で頑張っていたり「外の世界」で奮闘してきたりした人が多いだろうと思います。周りにはいつも、馴染みのないものや、公的な振る舞いを求められるシチュエーションなどがありました。それが、ここに来てプライベート色が濃くなっていくのです。もちろん「閉じこもって外に出ない」というわけではありません。日常は今までとさほど変わらないだろうと思うのですが、もし「ひとりで過ごしたいな」と思うときがあれば、積極的にその時間をとっていただきたいと思います。惰性で誰かとダラダラ過ごしたり、SNSを四六時中覗き込んでいたりしない時間に価値が生まれるときだからです。
あなたはこの時期、いろいろなことを思い出します。2019年あたりから、恋や仕事、人間関係などあらゆるテーマで始まった変化のこと。自分が変わらないことには、前に進めなかったこと。これだけは変えるまいと、必死で食らいついてきたこと。2021年には、いわゆる「オトナの対応」を強いられもしたでしょうか。たくさんの言葉を、誰にも言えないまま飲み込んできた夜もあったかもしれません。まだ癒えていない生傷を抱えたまま、どうにかこうにか今日を生きた人もいるのだろうと思います。
そうした、誰にも見せないできた心の一番デリケートな部分に気づいて向き合って、とことん付き合ってあげられるのがこの時期です。おそらくですが、「やまない雨はない」「愛によって負った傷は愛によってしか治せない」などといった“名言”に、なんだか腹が立ってしまうんじゃないかと思います(感動なさっていたらすみません)。そういった他人の言葉や、他者からのアドバイスはまるで心に刺さらないのです。雨がいつかやむのは知っているけれど、今降っているこの雨がつらい。新しい愛を手に入れればいいのはわかっている、でもその保証なんてないじゃん。仮に手に入れても、また傷つくかもしれないじゃん。ひりつくような痛みも、わかってよ! という感情も、ただただ怖い気持ちも、自分しかわかってあげられる人はいません。
5月中旬から10月にかけて、おうし座の人はときどきダークモードになる瞬間があるかもしれません。過去の思い出や痛手、押し込めてきた秘密などが、心のなかからそっと呼びかけてくるのです。その小さな小さな呼び声に気づいたとき、「ポジティブに考えられないのは、いけないことだ」「過去にとらわれるのは、ダメなことだ」なんて、厳しい受け止め方をしなくても大丈夫です。
一般的に、世の中では「明るい人」が求められます。就職活動でも、恋愛でも、明るさはいいものとされます。でも、光があれば闇も生まれます。その闇に見向きもせずに、明るさだけをいいもののようにアピールするのは、それはそれで危ういことなのですよね。闇はあります。あなたの心にも、誰の心にも。心の声が聞こえるのは、気づいて欲しいから。そして今が、それに最適なときだからです。
小さな自分の声に、ちゃんと気づいてあげましょう。傷があれば、「つらかったね」と、まずいたわってあげられるといいですね。秘密に対しては、守り抜いた自分に称賛の言葉を。そんなことが、「自分が本当に求めるかたち」でできるのは、自分しかいません。
いつか新しい体験によって心の傷が治癒していく機会があるとしても、その傷が「ある」と気づいていなければ、痛みを感じ続けることをルーティンとしてしまう人がいます。自分を否定して否定して、記憶を消そうとして、でもそんなのは無理で、苦しむ人がいます。他者を完全に遮断して、孤独のなかに生きる人もいます。こうしたことから自分を引っ張り上げる役割は、自分にしか担えないのです。闇をちゃんと見ることには、こうした意味があるんですね。
この時期が終わる頃、あなたはかつて受けた傷や痛みを、学びに変えていけるでしょう。人の弱さやズルさをも受け止められる、寛容さも生まれるかもしれません。経験を消化して、世界を理解する力に変えていけるのですね。
私は思うのですが、いわゆる「強い心」とか「愛する力」と呼ばれるようなものって、「強くなろう!」「人を愛そう!」という意思の力だけで頑張っても、自己満足で終わってしまうのではないでしょうか。自分の心の弱い部分に寄り添い、傷が癒えるのを静かに待ち、明るくなれない自分をも肯定する。そんな優しい闇こそが、強くありつつも折れにくい心や、愛する人を受け止める力をやしなっていくのではないかと思います。初夏から秋にかけては、そんな時間です。
* * *
電子書籍『2022年上半期 あなたの運勢』では、ここまでにご紹介した全体運に加えて「仕事運」「恋愛運」も掲載、月ごとの具体的なアドバイスもお読みいただけます。
また、電子書籍購入者のみの特典として、2022年上半期の重要日をお知らせいたします。
※完全版(12星座分)のみの特典となります。星座別の分冊版からはご覧いただけません。恐れ入りますが、ご了承ください。