文筆家・ツレヅレハナコさんの最新刊『まいにち酒ごはん日記』が発売になりました。本書は、食と酒と旅を愛する著者が、インスタグラムに綴ってきた投稿の直近3年間分を厳選&大幅加筆修正したオールカラーの日記本です。前半は国内海外と旅に出て外ごはんを楽しむ一方、後半はコロナ禍で自炊生活に勤しむ日々が綴られています。日記本とはいえ情報量がとても多いので、ぜひメモを片手にお楽しみください。また、巻末には「読むだけで作れる31レシピ」も収録されています。本書の内容を、少しずつ抜粋してご紹介します。
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うちの近所の幸せスポット
私の家がある小さな商店街の小さな肉屋さんは、揚げ物がおいしい。特にささみカツとメンチカツ。肉屋ならではのラードで揚げる揚げ物の魔力よ! 昼時に行くと揚げたてサクサクだし、天気は良いし、コロナも一時解除だしで、コンビニでハイボール缶買ってひとり公園ランチ。
肉を買うと昔ながらの紙で包んで輪ゴムをパチッととめるところも、生ハンバーグ種を買うと帰るまでに形がむにゃっとくずれちゃうとこも好き。まあ私は、この種にクミンを足して肉団子にしちゃうから全く問題ない。
さらに近所を散歩していたら、花の卸問屋がやっている花屋さんがあった。巨大な倉庫みたいな素っ気ない店内に雑然と並べて売られているのだけれど、とにかく安い! 状態が良い! 種類が多い! 私の愛するデカくて派手な花もめちゃ安……おかげで、常に家に花がある生活となった。
何もない町だと地元の人は言うけれど、そんなことない。というか、ご縁で住むことになった場所。いいところを探して楽しんだ方が、毎日豊かで楽しいよねー。
これが憧れのロブスター
ずーっとずーっと、子どもの頃から行ってみたかったのです。人生初「レッドロブスター」! 脳内でCM の曲が鳴り響く……。
我が実家で少し特別なことがあると家族で行っていたレストランは、今はなき赤坂のバブリーなレストラン「Tokyo Joe’s」。マイアミでとれるストーンクラブというめちゃうまなカニが看板メニューで、マンハッタンクラムチャウダーやキーライムパイを食べるのが定例だった。
そして、「レッドロブスター」! まさかのスチームロブスターを頼むと今だけもう1尾グリルロブスターがついてくるというキャンペーン中。5000円くらいするものがもう1尾って、デリバリーピザか! コロナで余ってるんだろうな……。いずれにせよラッキー。白ワインを呑みつつ手をベタベタにしながらのロブスター、牡蠣、ソフトシェルクラブ、オニオンリング。キーライムパイもある。メニューのラインナップは、アメリカの甲殻類屋さんの定番なのね。
はー、なんか子どもの頃を思い出す夕食で楽しかった。
青春すぎるイタリアン
晩酌。豚肉のトマトソースと、イカとツナのサラダ。ワケあって昼に100年ぶりくらいの「カプリチョーザ」へ行った余韻で、突然このサラダを食べたくなったのです。ドレッシングも、わざわざホームページに出ていたオリジナル市販ドレッシングの原材料を見て作った!
でも何か違うなと思うその理由は、ドーンと大皿料理がのったテーブルをみんなで囲むワイワイ感。派手にカンツォーネが流れる店内と、巨大丼のパスタやソフトボールサイズのライスコロッケの不在だ。
トマトとにんにくのスパゲティ、歯が真っ黒になるから男子と食べたくなかったけど大好きだったイカスミスパゲティ、揚げなすとほうれんそうのミートソース、シャバシャバなカルボナーラ、温野菜のバター風味 揚げポテト添え、「なんてオシャレなピザなんだ!」と当時思ったカルツォーネ、大きなスクープで2つ出てくるバニラアイスクリームの熱々ブルーベリーソース添え、ホイップたっぷりのかぼちゃのタルト……。
あー、やはり友達8人くらい(ただし、自分のカプリチョーザ時代ストーリーを語れる人のみ!)集めて宴会するしかないなこれは。みんな中年だから、金はあるが胃の余白がないのがなんだけれども。「レッドロブスター」に続いて、個人的に懐かしチェーン店ブーム。
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まいにち酒ごはん日記
2018年春から2021年夏まで、ちょうどコロナで世の中が変化した狭間の3年間の飲んで食べて旅して感じたこと、考えたことを集めたオールカラーの日記本。巻末には読むだけで作れる31レシピ付き。
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