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「超」創造法 生成AIで知的活動はどう変わる?

2023.11.24 公開 ポスト

ChatGPTには「答え」ではなく「問い」を聞け AIとのブレストで成果を出すコツ野口悠紀雄

ChatGPTはブレストの相手としてうってつけですが、良いアイデアを得るにはコツがあるそうです。AI時代にアイデアを生み出す最強の手法を解説する幻冬舎新書『「超」創造法 生成系AIで知的活動はどう変わる?』より、内容を抜粋してお届けします。

*   *   *

アイディアを得るための「刺激」をChatGPTに与えてもらえるか

アイディアを出すために、ブレインストーミングはきわめて重要です。ただし、相手が有能な人でなければ、単なるおしゃべりや、時間潰しになってしまいます。

しかし、有能な人ほど忙しいので、こちらが聞きたいときに、いつでも対応してくれるわけではありません。

ところが、ChatGPTは、いつでも相談に乗ってくれます、そして、いくら聞いても、嫌がりません。対話の相手としては、理想的のように思われます。

そこで、ChatGPTを相手にブレインストーミングができないでしょうか? それによって、アイディアが得られないでしょうか? 答えが得られなくてもよいから、きっかけや手がかりがつかめないでしょうか?

アイディアを出すのはあくまでも自分なのですが、そこに至るまでの刺激をChatGPTに与えてもらおうというわけです。つまり、「これについてのアイディアがほしい」というような直接的な方法で答えを得るのではなく、ChatGPTとの会話を通じて、自分自身がアイディアを生み出すのです。

人間を相手にした会話で、このような経験をした人は多いでしょう。相手の何気ない発言の中に、自分の求めていることへのヒントが含まれている場合があります。こうした産婆さんば役をChatGPTにやってもらおうというわけです。

ChatGPTとのブレストのコツは「答え」ではなく「問い」を聞くこと

ChatGPTとの対話によるアイディア出しは、うまくいく場合もありますが、いかない場合もあります。

比較的うまくいく方法を紹介しましょう。それは、「検討すべき点」「調べるべき点」「論じるべきトピックス」を聞くことです。つまり、答えではなく、「問い」を聞くことです。

どのようなことを聞きたいか、その内容は、人によって違うでしょう。私の場合に関して言うと、「何について書くか?」というテーマ探しが重要です。なぜなら、文章を書く作業で最も重要なのは「何について書くか?」であり、よいテーマをつかめたら、8割がた成功と言えるからです。

 

では、どうしたら、よいテーマをつかめるでしょうか? これまで行なっていたのは、思いついたことを育てて成長させるための、メモの仕組みを作ることです(第8章参照)。それらをシステマティックにして、「質問ジェネレータ(質問製造機械)を作れないか?」と考えたこともあります。

こうした試行錯誤を続けてきたのですが、いま生成系AIの出現という大きな変化が起きました。そこで、ChatGPTに頼んでみます。

ChatGPTを使って企画案を出す

例えば、〈当社で長年の稼ぎ頭であった商品の売上げが、最近落ちています。この問題を解決するために調査、検討すべき事項を5つあげてください〉というように聞きます。

このように漠然とした質問でも、かなりまともな答えが返ってきました(実際に確かめてみてください)。

「稼ぎ頭の商品」が何であるのかを詳細に説明し、かつ、その売上げがどのように推移してきたかのデータを示せば、もっと具体的な答えが得られるでしょう(ただし、あまりに詳細なデータを入力すると企業機密が漏洩ろうえいするおそれがあるので、ご注意ください)。

この方法では、調査すべき方向を求めるだけであり、答えを求めているわけではありません。答えを見出すのは、あなた自身の仕事です。こうした問題についての答え(解決策)をChatGPTに求めるのは、もともと無理な要求です。答えを得るためには、きわめて多くのデータをChatGPTに提供する必要があるからです。

 

大企業であれば、自社のデータシステムとChatGPTを、API接続によって結合したシステムを構築して、この問題を分析することは可能でしょう(第2章の6参照)。

ただ、そのためには、多大の投資が必要とされるでしょう。しかも、投入した資源に見合うだけの有益な答えが出てくるかどうかは疑問です。

 

それに対して、ここで述べた方法は、一般に公開されているChatGPTを使うだけで、誰にでも簡単にできることです。そして、多くの場合に、有益な効果を得ることができるでしょう。

*   *   *

この続きは幻冬舎新書『「超」創造法 生成AIで知的活動はどう変わる?』でお楽しみください。

関連書籍

野口悠紀雄『「超」創造法 生成系AIで知的活動はどう変わる?』

生成AIによって、単純な知的作業の効率を著しく高めることが可能になった。そのおかげで人間は、AIにはできない”創造活動”に集中できる。創造とは、アイディアを見つけ、育てること。方法論なしに、いいアイディアを思いつくことは、ない。半世紀にわたってアイディアを生み出す手法を蓄積してきた著者は、生成AIを導入・実験して、真に効果がある使い方を発見。生成AIという優秀な助手を得て、さらにバージョンアップした、最強のアイディア創造法を公開。AI時代に誰が失業し、誰が伸びるか?

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「超」創造法 生成AIで知的活動はどう変わる?

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野口悠紀雄

1940年、東京に生まれる。63年、東京大学工学部卒業。64年、大蔵省入省。72年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専攻は日本経済論。近著に『日本が先進国から脱落する日』(プレジデント社、岡倉天心賞)、『2040年の日本』(幻冬舎新書)、『超「超」勉強法』(プレジデント社)、『日銀の責任』(PHP新書)、『プア・ジャパン』(朝日新書)ほか多数。

・Twitter @yukionoguchi10
野口悠紀雄Online
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