英会話、資格の勉強、ダイエット、禁煙など、始めたいのにできない人には共通の傾向がある……! 行動科学マネジメントの第一人者、石田淳さんが誰がやっても成果を出せる実践的メソッドで「始め方」を指南する幻冬舎新書『始める力』より、一部を抜粋してお届けします。
環境があなたの目的を阻害していたら、始められない
「ハードルも充分に低くしたし、やる気マンマンなのに上手く始められない」
こんなときは、あなたを取り巻く環境を見直す必要がありそうです。
第一章で紹介した、資格試験に挑戦中の女性を思い出してください。早く起きて勉強しようと思っているのに、ベッドがあるから二度寝をしてしまった彼女。自宅からカフェへと環境を変えただけで勉強習慣を身につけることができました。
環境は、とても重要な要素なのです。
ある30代の主婦は、年々増加していく体重をどうにかしようと考えていました。美容上の理由もあるけれど、なにより健康のために。というのも、市の健康診断ではじめて「血糖値が高め」と指摘されたのです。
まだ、30代。小学校に通う育ち盛りの子どもが3人います。少なくとも、これから20年間は大病知らずで過ごしたいところです。
彼女は、運動か減食か、どちらの手法を選ぶか大いに迷いました。そして、子どもの頃から運動とは無縁だったので、減食のほうが自分には向いていると判断しました。
「減食したほうが食費も減らせるしね」
しかし、減食しやすい環境が整っているかというと、そうではありませんでした。というのも、育ち盛りの三人の子どもたちのために、どうしてもこってりと食べ応えのある食事を用意することになります。しかも大量につくって、子どもたちが残した分は「もったいない」と自分が食べてしまうことが多いのです。
このように、家庭には、それを大事に思うがゆえの「足を引っ張る環境」が存在しがちです。
結婚したばかりの20代後半の商社マンは、海外勤務に備えて本格的に英語の勉強を始めようと思っていました。7時には出勤しているので、早朝の勉強は無理。そこで、帰宅してから30分でいいから英単語を覚えようと計画しました。
しかし、実際には、帰宅すれば奥さんが嬉しそうに話しかけてくるし、美味しそうな食事がお酒とともに用意されているしで、一向に勉強は始まりません。やはり環境が邪魔しているのです。
「そんなの、いくらでもなんとかできるだろう。本人が甘すぎる!」
と突っ込んだあなた。「始められないのは意志の問題ではない」ことを思い出してください。ほんの小さな誘惑でも、そちらに流れてしまうのが人間なのです。
アルコール依存症から脱却するには、専門の施設に入り、まったくお酒のないところで過ごす時間が必要です。施設を出てからは、自宅にお酒を置かないことはもちろん、お酒を出す店にも近寄らないようにしなければなりません。
それは、アルコール依存症の人の意志が弱いからというよりも、環境が整わなければ人間は望ましい行動が取れないからです。
あなたの置かれている環境は、あなたの「始める」を応援してくれる状況ですか?
今一度、客観的に見直してみましょう。
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始める力
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