英会話、資格の勉強、ダイエット、禁煙など、始めたいのにできない人には共通の傾向がある……! 行動科学マネジメントの第一人者、石田淳さんが誰がやっても成果を出せる実践的メソッドで「始め方」を指南する幻冬舎新書『始める力』より、一部を抜粋してお届けします。
「自己効力感」で作るプラスのスパイラル
世の中には、妙に余裕を感じさせる人間が存在します。多くの人がビビってしまうような案件でも、「自分ならできる」と言わんばかりの人たちです。
しかし、よく見ていくと、そうした人の中には2つのタイプがあることがわかります。
- ただ大風呂敷を広げているだけのタイプ。
- 本当にやり遂げてしまうタイプ。
前者はいわゆる「はったり」で、後者は「自己効力感」の高い人。スポーツ選手も2つのタイプがいて、本番で良い成績を残せるのは、自己効力感の高い人です。
自己効力感を持てれば、気分良く始められる。
気分良く始めれば良い結果につながり、さらに自己効力感を高められる。
このプラスのスパイラルをつくり出せたら、もう怖いものなしです。ぐだぐだ悩むことなく、どんどん新しい挑戦をしていけるようになります。
「ポジティブシンキング」は逆効果
ただし、自己効力感について勘違いしないでほしいことがあります。それは、「自己効力感というのは、ポジティブシンキングではない」ということです。
一時期、大いにもてはやされたポジティブシンキングは、もはや古くさい過去のもの。今はむしろ、マイナス効果しかもたらさないと判断されています。
では、あなたが新しいことを始めようというときに、ポジティブシンキングはどうマイナスになるのでしょうか。
前述したように、私たち人間は、頭の中に流れているよけいな言葉のために、事実とは違った認知をしています。
たとえば、仕事でミスをしてしまったとき。ミスをしたことは事実だし、そのときは上司に叱られるでしょう。でも、そこで、
「私はミスばっかりでダメな人間だ」
「ほかの人は、私みたいにミスなどしないのに……」
「上司は私を嫌いになったに違いない」
などと思い込んでしまうのは妄想であり、事実ではありません。こうしたゆがんだ認知を、心理学の専門用語で「非適応的認知」と呼びます。
一方、物事を事実に即して判断するのが「適応的認知」です。
「私はミスをすることもあるけれど、上手くできることもある」
「上手くやっているように見えて、ほかの人だってミスはするはずだ」
「このことだけで上司に嫌われるというのは大げさだ」
事実は、このようなことだと思いませんか?
大事なのは、こうした事実に即した対応なのですが、そのためには客観性が求められます。
ところが、ポジティブシンキングは、ひたすら前向きに考える試みであり、そこに客観性はありません。自分のキャパシティを無視して無理な目標設定をしては失敗し、心が折れる結果になります。そして、「私はダメだ」とますます認知をゆがめてしまうのです。
ポジティブシンキングを捨てて、適応的認知ができたら、始めるのは簡単です。
「始めてみて、上手くいくこともいかないこともあるだろう」
「やってみてダメだって、それですべてが決まるわけではない」
「途中でやめても、誰もそのことで自分を悪く評価したりしない」
こうした事実を見つめておけば、心配することなどなにもないのですから。
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始める力
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