妊娠・出産、セックス、美容・健康。女性が日々を心地よく過ごすためには、性器についての知識とケアは欠かせません。しかし、いくら親しい間柄でも、人に相談するのはためらってしまう……。そんなあなたに手にとってもらいたいのが、森田敦子さんの『感じるところ』。女性器の役割から、心との関係、毎日のケア、婦人科とのつき合い方まで、知りたかったことがぎゅっと凝縮されています。その中身を一部、ご紹介しましょう。
外に見えているものだけがクリトリスじゃない!
実は、普段私たちが目にしている尿道口の上にポツッとついているクリトリスは、ほんの一部。クリトリスという器官は腟まわりの奥に数センチにわたって存在する器官で、その構造全体をクリトリスと呼ぶのです。
クリトリスの全体は9~12センチほどで、見えている部分は陰核と呼ばれ、1センチほどの大きさです。陰核には神経が集中しており、実は男性のペニスよりも神経細胞が多いのです。陰核のまわりは包皮され、普段は外部の刺激から守られている状態です。
クリトリスの外から見えない部分は尿道や腟を囲むように存在しています。大陰唇の下あたり、腟壁のちょうど裏側には前庭球があり、そのまわりに陰核脚という部分が二股に分かれてあります。この3つの部位全体をクリトリス(またはクリトリス球腺)といい、女性の快楽を発するところだとわかっています。
見えている部分の小さい豆つぶのような部分だけではなく、体の奥に伸びていて、腟のまわりにも広がっている器官であることが判明したのです。そして後で詳しく述べますが、腟=Gスポットでのオーガズムも、結局のところクリトリスからのオーガズムであることが証明されました。
つまり、クリトリスは女性に性感を与えるために存在している臓器であり、オーガズムを得るための場所であるということです。
クリトリスからの快感によりたっぷりと粘液が分泌され、男性のペニスを挿入することができる状態になります。
Gスポットの正体
一般的に、腟まわりでは大きく2つの場所でオーガズムを感じると言われています。それは尿道口の上に位置する陰核(クリトリス)と、腟の中に存在すると言われているGスポットです。
Gスポットはクリトリスと同じぐらい認知されていると思いますが、あなたは自分のGスポットを感じたことはありますか?
Gスポットという呼び名は、ドイツの産婦人科医であるエルンスト・グレフェンベルクのイニシャルからつけられました。彼は長年にわたり腟の構造を研究し、腟口から2~3センチのところに敏感に反応するエリアがあるということを突き止めました。そしてそこがGスポットと呼ばれるようになりました。この研究成果は1982年に本になり、20ヶ国で翻訳され出版されました。
この本によりGスポットというポイントが腟には存在し、そこが女性の快楽を生み出し幸せを与える場所だと、世界的に認知されてしまいました。また腟オーガズムこそ女性の一番の快楽だと勘違いをさせてしまいました。
今、この本を読んでくださっている方の中でも、腟でのオーガズムを感じられず、密かに悩んでいる人がいるのではないでしょうか? そういった悩みを抱えている人はとても多いです。でも安心してくださいね。Gスポットが感じられないとか腟オーガズムが訪れないことは、不感症ではありません。
実はこのGスポットもクリトリスによって現れる快感のポイントなのです。
そして今までGスポットを感じられなかった人は、クリトリスでの快感が不十分だった可能性があります。
平均16~18分かかるクリトリスでのオーガズム
クリトリスはとてもデリケートな器官で、気持ちよくなってからオーガズムを得るまでにとても時間がかかるのです。男性は10~12分でオーガズムを迎えると言われていますが、クリトリスは平均で16~18分ほどかかると言われています。
簡単にはオーガズムを感じられないからこそ、パートナーと感情が分かち合えないとなかなか気持ちよくなれないですよね。
そしてクリトリスはオーガズムを感じると、男性器と同様に勃起をします。その際、陰核、陰核脚、前庭球のすべてが充血し膨張します。
そして前庭球の膨張した箇所が腟内のほうに張り出し、そこを圧迫されることで腟壁を越えてクリトリスの前庭球に刺激が伝わり快感を覚える、その場所こそ、Gスポットなのです。
Gスポットは常に存在するものではなく、快感を得たからこそ現れる快感スポットだと言えるでしょう。ですから、Gスポットでの快感を得たことのない人は、まずクリトリスでの快感を丁寧に追求することが大切です。
女性のオーガズムの仕組みはとても繊細で複雑です。間違った性の認識からクリトリスや腟を雑に扱い、力任せに刺激をしている男性が多いとよく耳にしますが、それではいけません。
何より、あなた自身も知らなかったことが多いと思います。今までオーガズムを得られなかったのであれば、一度パートナーとのコミュニケーションを見直して、伝えてみてください。
言葉で伝えることに抵抗があるのなら、このページを開いて、パートナーの目に入るようにテーブルの上にでも置いてみるのもいいかもしれません。
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感じるところ
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