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アルパカ通信 幻冬舎部

2024.06.29 公開 ポスト

水野梓『金融破綻列島』/柴田哲孝『暗殺』- 日本社会の暗部をあぶり出す小説2作!アルパカ内田(ブックジャーナリスト)/コグマ部長

幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
柴田哲孝『暗殺

元内閣総理大臣が凶弾に倒れた。その場で
取り押さえられたのは41 歳の男性。男は犯
行の動機として、元総理とある宗教団体と
のつながりを主張。単独犯として起訴され
るが、この事件では多くの謎が見逃されて
いた―。真犯人は誰だ? 実際の事件を
モチーフに描く、傑作サスペンス。

2022年7月の元総理大臣の暗殺事件。日本中に衝撃を与えたその事件には、著者によると、いまだ明らかにされない謎があるという。たとえば遺体にあるべきはずの銃弾が見つからない、逮捕された容疑者の位置からはあり得ない位置に銃創がある、重大事案にもかかわらず現場検証が即座に行われなかった……。他にも、当時の警備の薄さや、手製の銃とされた凶器の命中精度や殺傷能力についての疑問を持った人も多かったはず。

著者は丁寧な取材を土台に大胆な推理を繰り出し、小説でしか描けなかった「真犯人」にたどり着く。1987年5月の全国紙の阪神支局襲撃事件から始まるスリリングなプロローグ、読み進むにつれ徐々に明らかになる日本の暗部と国家を陰で操る黒幕の存在、私利私欲にまみれた権力者たちの無様な姿、翻弄されるメディアの罪と罰。

それぞれは何も関係がないと思われる点と点が地下水脈でつながったとき、目の前に広がる光景に読者は言葉を失う。もはや、真実はこの小説以外にはありえないとしか思えない。

戦後史最大のミステリー「下山事件」に材をとった代表作を持つ著者の新たな傑作。これぞ震撼しながら読むべし。

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

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アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

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