幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
柴田哲孝『暗殺』
2022年7月の元総理大臣の暗殺事件。日本中に衝撃を与えたその事件には、著者によると、いまだ明らかにされない謎があるという。たとえば遺体にあるべきはずの銃弾が見つからない、逮捕された容疑者の位置からはあり得ない位置に銃創がある、重大事案にもかかわらず現場検証が即座に行われなかった……。他にも、当時の警備の薄さや、手製の銃とされた凶器の命中精度や殺傷能力についての疑問を持った人も多かったはず。
著者は丁寧な取材を土台に大胆な推理を繰り出し、小説でしか描けなかった「真犯人」にたどり着く。1987年5月の全国紙の阪神支局襲撃事件から始まるスリリングなプロローグ、読み進むにつれ徐々に明らかになる日本の暗部と国家を陰で操る黒幕の存在、私利私欲にまみれた権力者たちの無様な姿、翻弄されるメディアの罪と罰。
それぞれは何も関係がないと思われる点と点が地下水脈でつながったとき、目の前に広がる光景に読者は言葉を失う。もはや、真実はこの小説以外にはありえないとしか思えない。
戦後史最大のミステリー「下山事件」に材をとった代表作を持つ著者の新たな傑作。これぞ震撼しながら読むべし。
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アルパカ通信 幻冬舎部
元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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