世の中の #トホホ を拾い集めては披露してくれる、歌人芸人の岡本雄矢さん。これは言えないよねえ!と同感の今回。
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次の駅で降りるんですけど先輩の話オチまでいかないですよね
先日、先輩芸人の方と仕事終わりに地下鉄に乗って帰った時のこと。
先輩芸人が「この前、腹立つことあってさ」とエピソードトークを話し出しました。
最初はとても興味を持って聞いていたのですが、途中から僕は別のことが気になり出します。
僕の降りる駅が近付いてきたけど、このペースだと先輩の話オチまでいかないんじゃない?
先輩の話はまだ中盤辺りの雰囲気ですが、僕の降りる駅、次なんですよ。
オチまで聞けないんじゃない?
かといって「次の駅で降りるんで、もう少しトークのスピード上げてくれません?」なんてことは、先輩には言えません。
間に合うだろうか?
そんなことを考えているうちに、地下鉄は僕の降りる駅に着きました。
先輩の話はまだ終わりません。
僕は、その駅で降りる気なんてまったくなかったという顔をして、地下鉄を降りずに話を聞き続けました。
トークも終盤の雰囲気になってきた時、地下鉄は次の駅に着きました。
そこで先輩が言います。
「俺ここで降りるから、続きはまた今度」
え? まじですか?
先輩は地下鉄を降りていきました。
え? まじですか?
自分の降りる駅逃してまで話聞き続けたのに、結局オチまで聞けなかったんですけど。
これが約一ヶ月くらい前の話。
あれ以来先輩には会えていないので、僕はあの話のオチをまだ聞けていません。
* * *
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読めば読むほど、なぜか幸せな気持ちにしてくれる短歌&エッセイをお楽しみください。
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僕の不幸を短歌にしてみました(エッセイつき)
著者は、主に”不幸短歌”を詠む「日本にただ1人(たぶん)の歌人芸人」。
よく失敗する、言いたいことが言えない、反論したくても返せない、なぜ自分だけこんな目に合うのかといつも思う、自分には劇的なことが起こってくれないと嘆いて生きている……。
そんな著者から見える”世界”を、フリースタイルな短歌(&ときどきエッセイ)にしてお届け。
もしあなたが自分のことを「不幸だ」と思っているなら、「もっと不幸な男」がここにいると思ってください。
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