2024年10月16日 人形との遭遇辛酸なめ子

国立新美術館で田名網敬一さんのお別れ会があり、立ち寄って献花させていただきました。大規模展覧会の開催中に天に召された田名網さん、夢と現実が混在する作品のように、この世とあの世の間に遍在する田名網さんのスピリットを感じました。

展示の最初の太鼓橋の作品が、お別れの会の日だけ特別バージョンで田名網さんの顔が映し出されていました。一度しかお話しできなかったのですが、その体験を心に刻んで大切にします。宇川さんの弔辞のスピーチは、叶井さんのお別れ会以来です。会場には一瞬ご本人が生き返ったのかと思うリアルな田名網さんの人形がいたのですか゜、その顔型を取った時のエピソードが印象的でした。生きたままのライフマスクを取るためには、緑色の液体に目を開けたまま一分間、息を止めて顔をとけなければならず、スタッフにその間中、頭を抑えられているそうです。宇川さんが同行し、大丈夫ですか？　と横で声をかけたけれど本当は大丈夫ではなかったとか。その液体に目を開けたまま顔をつけるのはかなりの恐怖で、何度か失敗してやっと成功したそうです。さすが、作品からも伝わる、絶対に最後までやり抜く力。私は水が怖いのでムリです。そしてその人形制作所には、小林幸子さんがライフマスクを取ろうとして失敗した、目を閉じた状態のマスクが10個くらい並んでいたとか。

ギャラリーの南塚さんの、リスペクトが込められた弔辞も感動的でした。余韻に浸りながらもそのあと所用があったので、急いで献花して退出させていただきました。

夜は新宿でSHOWROOMの配信、吉田豪さんのトーク番組にお邪魔いたしました。事務所に入ってデジャヴュ感を覚えたのですが……このぬいぐるみが積み重ねっている光景は、以前訪れた盛岡のザシキワラシの宿を思い起こさせます。予約がなかなか取れないという人気の宿です。

ザシキワラシの宿は、ワラシちゃんに気に入られるため、宿泊者がぬいぐるみやおもちゃを持っていく習わしがあります。同じようなぬいぐるみだらけで飽きないかと思ってしまいますが……。おそらくワシシちゃん以外の子どもの霊も、ぬいぐるみに惹かれて集まってきています。一人部屋で泊まるのがかなり怖かったですが、やはり軽い金縛りに遭ったり、夜中バタバタと歩き回る音が聞こえました。

吉田さんの事務所にある大量のぬいぐるみは、ザシキワラシへの捧げものではなく、なかなか手に入らないレアな品々だそうです。ザシキワラシの宿に持っていってみては？　と言ったら、貴重なものなので断られました。

これだけあるとやはり子どもの霊が引き寄せられそうで、長年活躍されているのは、ザシキワラシを呼び寄せているからかもしれません。