東京国立博物館特別展「はにわ」がはじまりました。「おーい! はに丸」の影響で、はにわはかわいいイメージがありますが、この展示を見ると実は武装して戦闘能力が高い人々だったというのが伝わります。大和朝廷による国土統一の武力が恐ろしいです。「ヤマト政権」は、ディープステート以上の支配力と戦力を持っていそうだと、はにわの目の奥の空洞の闇を見て感じました。出雲系の人が行ったら、はにわに軽い恐怖を覚えるかもしれません。
竹久夢二美術館では、「竹久夢二と読売新聞 ~記者・夢二の仕事とそれから~」という展示が始まりました。
竹久夢二は実は、一時的に読売新聞で働いていたそうです。20代の頃、絵も描ける記者として入社。取材や寄稿文などを執筆していました。この展示には、若き日の夢二が描いたスケッチや文章も展示されていて、夢二式の美人画とはまた違った趣がありました。
スケッチはラフなタッチですが、動きや表情を捉えていてさすがの画力です。夢二は、明治時代に上野公園で開催された、万博的なイベント「東京勧業博覧会」も取材。このイベントをはじめて知りましたが、台湾館、機械館、演芸館などいろいろな館がある中、不思議館、水晶館というのがおもしろそうでした。上野公園でタイムトリップしてこのイベントに迷い込みたいです。
また、上野公園では「猫の博覧会」というものも開催されていたようです。生きた猫679匹、98種が集結。ホースマン卿の愛猫(チンチラ産)が何かの賞を受賞したと記事にありました。
他にも「涼しき土地」というタイトルで大原、銚子、水戸、大洗などの紀行文も執筆。楽しそうな仕事です。でも、新聞社は主任と喧嘩して「浪人になり勉強したい」とすぐに辞めてしまいました。
それからはフリーになって大活躍し、雑誌などにも挿絵を描きまくり、古巣の読売新聞にも寄稿しました。
展示されている夢二の執筆したものの中で、女性の草履について怒っている文章が印象的でした。当時、自分の足のサイズより小さい草履をはくことが流行っていて、足がはみ出ている女性が多いのが夢二の美学に反していたようです。草履に対する昭和5年の抗議文には「街を歩いて見て、女の人のはく草履は、僕にとって最も滑稽に見えるものの一つです。なぜ、あんな小さな草履をはくのでせう。足が一寸も出ていて気持悪くないのでせうか。経済的な見地から見ても、足袋が汚れて仕方ないと思はれます。人の家を訪問した時に、自分の足の大きいことを暴露するのがイヤさに、ああいふお上品なものを選ぶのでせうが、僕から見れば却って反対です。」などと辛口の文章が。「でせうか」と言われても……という気もしますが、とにかくかかとが出ているのは「歩きにくくてみっともない」ということらしいです。
多くの美人画を描いてきた夢二は女性に対して注文が多そうです。過去の女性たちの写真も展示されていましたが、超美人ばかりでした。夢二の絵から抜け出てきたような……。女性遍歴も新聞記事になっていました。
「プツシゴ」という見出しは何かと思ったら、逆から読んで「ゴシップ」でした。
「十年同棲夫人と別れて女流作家の山田順子さんと同居してちらほら噂の種まきをやっている」と大正14年の読売新聞に掲載。
その、山田順子さんへの別れの手紙も展示されていました。原稿用紙に流れるような字で書かれていて、最後の「『愛は戦だ』といふ。長い戦で短い恋だったね。」「でもいつかまた 全く別な心持ちで逢へるだらう」という未練を漂わせながらも、美しいまとめ方に、モテ男の矜持が表れていました。やはりフォローが大切です。
でも、晩年の昭和7年の読売新聞に「女、女と求めて歩くうちに時代は遠慮なく彼を置き去って行った」とかなり厳しいことが書かれていました。晩年は女とお酒にお金を使い果たし、太平洋沿岸を放浪。「変な女から六十銭を巻き上げ、その金でフランス行きの貨物船に乗った」そうです。その後体調を崩し、結核療養所へ。50歳前後で亡くなりました。写真を見ると当時のその年齢はかなり老けていてショックでした。
いろいろゴシップも書かれましたが、後世は名を冠した美術館ができるくらい人気を保ち続けているので、良い人生だったのだと思います。
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次元上昇日記
「次元上昇」とは? それは「アセンション」のこと。では、「アセンション」とは何か……。いろいろな意味があるので、ネットを検索してみて下さい。しかし、辛酸なめ子さんにとって、それは日々、功徳を積んで善行マイレージを貯め、それがある閾値に達すると得られる高い次元のこと。この連載は、その善行マイレージを貯め次元上昇をめざす一人の女性の抱腹絶倒、試行錯誤の記録です。
この連載が電子書籍になりました!『次元上昇日記 ベストセレクション50』
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